(3)法定外目的税
1]これまでの経緯
法定外目的税は、現行の地方税法では制度として認められていない。
法定外普通税が創設される契機となった昭和24年のシャウプ勧告においては、「法定税主義」、「普通税主義」に沿って、法定外独立税を整理縮小するとともに、目的税を限定することが勧告されている。
シャウプ勧告を受けた昭和25年の地方税法改正においては、旧法定外独立税の多くのものを廃止するとともに法定外普通税が創設されたが、目的税は水利地益税と共同施設税に限定され、法定外目的税については認められなかった。
その後、法定の目的税については、昭和31年の都市計画税、軽油引取税、昭和43年の自動車取得税、昭和44年の宅地開発税、昭和50年の事業所税などが地方税法の改正により新設されている。
2]法定外目的税創設の背景
租税体系の中では普通税が原則であり、特別の受益関係がある場合には、目的税でなく分担金制度を活用することもできる。また、独自の税源からの財源調達の手段としては、地方団体には法定外普通税を設定する途が開かれている。一般的に目的税は財政の硬直化につながるとされており、地方税法の制定にあたっては、法定の目的税もかなり限定されていた。そして、法定外目的税も現行制度では認められていない。
そこで、地方分権推計画では、法定外目的税について、住民の受益と負担の関係が明確になり、また、課税の選択の幅を広げることにもつながることから、その創設を図るとされたところである。
アンケート調査においても、法定外税目により地方税の充実を図っていくとした場合、法定外普通税と法定外目的税のどちらを活用していきたいかという設問に対して、地方団体の3分の2(66.0%)が法定外目的税と回答している。その理由を見ると「法定外普通税に比べ、受益と負担が明確になり、住民や議会のコンセンサスが得られやすい」、「使途が特定されているため、より納税者の理解が得られやすい」といった回答が多く、法定外目的税については使途が限定されているので法定外普通税より住民の理解が得やすいと考える地方団体が多い結果となっている。