明治から戦前の地方税制度においても、法定税目を中心としつつ一定の法定外税目を認める制度があったが、戦後地方財政の窮乏への対応として昭和21年の地方税法改正によって、市町村に加えて府県も法定外独立税を課すことができるようになった。さらに、地方団体の財政自主権を拡充するため昭和23年の地方税法改正によって法定外独立税の許可制度が廃止されたことから、原動機税、牛馬税、家畜税、ラジオ税、ミシン税などの零細課税が多発した。
昭和24年のシャウプ勧告では、各種税目を整理し、合理的な体系により国民の税負担の均衡を図る観点から、法定外独立税の整理が勧告された。シャウプ勧告を受けて行われた昭和25年の地方税法の改正では、法定外普通税が創設され、旧法定外独立税の一部は法定外普通税として存続した。
平成10年4月1日現在では課税団体は20団体であり、地方税収に占める構成比は9年度決算で0.06%となっている。
2]制度改正の概要
昨年5月の地方分権推進計画を受けて法定外普通税の制度改正が検討されているが、その主な項目について述べていきたい。
ア 新設・変更の手続き
地方分権推進計画では、法定外普通税の許可制度を廃止し、地方団体が法定外普通税を新設又は変更するにあたっては、国と事前協議を行うこととしている。
これは、地方分権の推進のため、課税自主権をより尊重する観点から、許可制度を廃止し、国の同意を要する事前協議制に移行するものである。事前協議制は、国と地方が対等・協力の関係に立つという国と地方の新しい関係に基づき、双方が意思の合致を目指して誠実に努力することを意味するものである。
この事前協議の過程においては、書面主義の原則、手続きの公正・透明性の確保(処理基準の策定等)、事務処理の迅速性の確保(標準処理期間の設定)等が求められることとなるものであり、こうした点を考えると、事前協議制は従来の許可制度と異なり、地方分権の考え方に適合的な仕組みであると考えられる。