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(3)地方分権に対応した市町村税源の充実

地方分権推進計画においては、地方税の充実確保について述べられているほか、「中核市」の要件見直しや「特例市」制度の創設など地方分権の受け皿づくりに向けた改正項目が盛り込まれている。

そこで、これからの分権型社会において権限委譲の受け皿として期待される特例市などの地方団体が自立的な財政運営を行っていくために、どのようにその税源を充実させていくべきかについても考察してみたい。

 

1]市町村の役割に対応した税源充実のあり方

市町村は、基礎的な地方公共団体であり、地域福祉等の担い手としてこれからの分権型社会において大きな役割を果たしていくと考えられる。

地域住民が自ら負担する税金をもって自らの住みよい地域社会を築いていくことは「地方自治」の基本であり、地域における住民の受益と負担の対応関係をより明確化していく必要がある。

もちろん、地域間の経済基盤には格差があり、税源が偏在していることから、現実には全ての市町村が地方税のみで所要の財源を充足することは困難であり、地方交付税等の財政調整制度は不可欠である。

しかし、地方自治の観点から考えれば、地方財源はできる限り住民が地方団体に対して直接負担する税によって充足することが望ましく、地方税源の充実によって自らの税収による自立した財政運営を行うことができる地方団体を増やしていくことが求められていると考えられる。

したがって、税源の充実によっても財源が不足する離島や過疎地域の団体などについては、ナショナルミニマムを確保するためにも引き続き地方交付税制度等を活用して財源保障を行いつつ、現在のように不交付団体が全市町村の4%(平成9年度、122団体)という状態を是正し、一定程度以上の市町村は自立的な財政運営を行えるような方策を考えていく必要があるのではないかと思われる。

 

2]税源充実による自立した都市の育成

地方自治法においては、市町村について、政令指定都市、中核市が定められているが、地方分権推進計画を受けて特例市制度の創設が検討されている。

 

 

 

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