(2)国と地方の税源配分の見直し
国民負担率の上昇を避けつつ、地方税源の充実を図るためには、国と地方の税源配分の見直しについて、個人所得課税、法人課税、消費課税といった各分野での検討を加える必要がある。
アンケート調査(複数回答可)においても、地方税源の充実確保の方法として「制度改正による国からの税源移譲」という回答が89.3%にのぼり、2番目の「現行の地方税の拡充や新設」35.7%を大きく上回る結果となっている。また、具体的な地方税拡充の内容については、消費税から地方消費税への税源移譲を挙げた回答が最も多かった。
国と地方の税源配分のあり方については、昨年度の報告書で検討が行われているので、簡単に触れておきたい。
1]個人所得課税
昨年度の報告書では、地域住民自らが負担するという性格のある個人住民税を充実させるため、所得税から個人住民税への税源移譲が提案されている。また、神野委員の報告においては、地方団体の供給するサービスが、これまで家族や地域社会の共同作業や相互扶助で実施されてきた福祉、医療、教育などの対人社会サービスに重点をシフトしてくることから、個人に一定期間の労働による対価を地方税として納税してもらうという考え方で、所得比例税が提案されている。
税源の偏在性をできるだけ解消し、税収の安定性を確保する観点からも、個人住民税の比例税率化も含め、今後のあり方についての検討を進めることが考えられるが、税収の伸長性、税負担の公平性等も踏まえて検討していくことが必要であろう。
2]法人課税
昨年度の報告書では、応益税としての事業税の性格が明確になるとともに、税収の安定性を備えた地方税体系が構築されることなどから、法人事業税の外形標準課税の導入が提案されている。
外形標準課税については、昨年8月の時点で、最近の景気動向を踏まえて平成11年度からの具体化は見送られたところだが、税制のあり方としては望ましい方向なので、今後、具体的な外形基準のあり方、企業経営や雇用への影響などを含めて検討が進められることとなっている。