第一部 分権型社会に対応した地方税制のあり方について
1. 地方税の充実確保
(1)地方税の充実確保の必要性
地方分権の進展に応じて、地方団体がより自主的・自立的な行財政運営を行えるようにするためには、地方団体の財政基盤を充実強化していくことが、重要である。
昨年5月に閣議決定された地方分権推進計画(資料1)においては、地方における歳出規模と地方税収入との乖離をできるだけ縮小するという観点に立って、地方税の充実確保を図ることとされ、また、国と地方団体との役割分担を踏まえつつ、国と地方の税源配分のあり方についても検討しながら、地方税の充実確保を図ることとされた。
今後、地方分権推進計画を踏まえ、所得・消費・資産等の間におけるバランスのとれた地方税体系の構築などに努め、地方税源の充実確保を図っていくべきであると考えられる。
最近の地方税と国税の租税総額における構成比をみると、国税のほうが所得弾性値が高いため景気の落ち込みによる税収減の影響を大きく受けている傾向は見られるものの、地方税の構成比は3割台後半でほぼ横這いに推移しているところである。
一方、国と地方の歳出純計に占める地方の構成比は約3分の2で推移していることから、国・地方の租税収入と歳出規模との逆転状況が続いている(資料2)。
また、国庫支出金、地方交付税など国から地方への財源移転額は、国税収入が伸び悩んでも建設国債の発行や交付税特別会計の借入金などを財源として増加傾向にある。
これらのことから、地方団体の自主財源である地方税の充実確保のための抜本的な解決を図っていくことが必要であると考えられる。