そして、これらの意見を踏まえ「北野小学校暫定活用案」がまとめられた。
すなわち、同校跡地をとりまく背景として、
1] 周辺は、神戸の歴史と伝統を色濃く残したエリアにあり、文化の薫り高い商業施設が集積し、神戸の代表的な観光地である北野異人館街に隣接している
2] しかし、震災の被害も少なくなく、界隈のランドマークであった建築物や施設が解体や休業を余儀無くされた
3] 一方で、オフィスビルのテナント料低下などにより、個性的な店舗やクリエーターが集まり始め、生活の場と仕事場の隣接や兼用などのケースも見られるなど伝統と革新が混在し新しいライフスタイルの誕生をも予感させる
とした上で、暫定活用にあたり求められる機能を、以下の3点としている。
1] 地域活性化につながる「新しいまちづくり」の実験
2] 神戸の「文化」と「産業」が融合した「オリジナル」の創造・発信
3] 神戸を代表する観光ゾーンの「安全性・利便性」の確保
以上を踏まえ、活用案を以下の通りとした。
1] 東校舎-工房・多目的ホール
2] グラウンド-観光バス駐車場・広場
また、東校舎の活用コンセプトを『地元住民・観光客・一般市民をターゲットとした神戸ブランドに出逢う体験型工房』とした。
この工房では、神戸の歴史や文化をベースに、神戸の生活文化産業の創造者たちや新たな神戸ブランド(神戸の文化価値を商業化できるもの)の創造者たちが、ここだけのオリジナルなブランド(商品・サービス)を、創って見せ(魅せ)ながら提供していく。
来館者は、各種ブランドの製造工程に触れたり、その製作をワークショップなどで体験することもできる。また、一般市民や地元住民を中心にした来館者自身か、逆に創造者となりうる参加型のイベントも展開していく。
講堂は、地元住民・工房の創造者・一般市民が自由に利用できる開放されたスペースとして再利用していくことが必要である。
[工房の入居条件]
・神戸の生活文化産業の振興に繋がるオリジナルな商品・サービスを創造する
・高い技能を持った人を配することができ、工房の創造過程を原則としてオープンにすること
・工房で創造したものを、販売もしくは展示などにより、その場で提供し、他の場所で製造したものを販売しないこと