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VIII 京都市における都心部小学校跡地の活用について

-既存の都市インフラの新たな活用方策-

 

京都市総合企画局政策企画室担当

寺 井  正

 

京都市の都心部においては、児童数の大幅な減少に伴う小学校の統合が、平成4年から9年にかけて順次進められた。統合により閉校となった小学校の跡地は、都心部では今後得難い貴重な財産であることから、その活用についての全体的な基本方針を策定したうえ、個々の跡地の活用について、地元住民の意向も充分踏まえながら、市全体の発展に資するものとなるよう活用計画を策定してきており、一部においてはすでに新しい施設として供用を開始している。こうした取組について概述する。

 

1 小学校の統合

 

京都市における児童数は、昭和33年をピークとして全体的に減少傾向にあり、人口のドーナツ化を原因として、特に都心部3区(上京区、中京区、下京区)における減少は顕著である。

 

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昭和62年度には、都心部3区の小学校全50校中、全学年が1学級でかつ20人未満の学級がある学校が13校、学級数が6〜11の学校が32校を占める状況となった。そこで、京都市教育委員会は、昭和63年2月に「学校は今…」と題する冊子を地域住民、保護者に配布して、小規模校のもつ問題や課題を提起し、これを受け各校では地域住民等を中心とした検討委員会が設けられ、教育的見地からの討議検討が地元主導で行われた。

この結果、地元住民組織の申出に基づいて、都心部の小規模小学校は順次統合されることとなり、平成4年3月から9年3月までの間に、29の小学校が9校に統合され、20校が閉鎖されたのである。

 

2 都心部小学校の歴史と地域住民の自治活動

 

このたびの統合により閉校となった小学校をはじめとする都心部の学校は、明治政府が「学制」を公布する明治5年(1872年)より前の明治2年(1869年)に創立されている。全国初の学区制小学校であり、創立、運営、通学区域は、「町組(ちょうぐみ)」を基盤としている。

 

 

 

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