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光ファイバー網は多量の情報を送信できるが、これらの情報は重要度の高いものが多く、なお一層、伝送経路の安全性の確保やフェールセーフのための複数化が必要である。地下鉄や下水道内の光ファイバー網は、各々地下施設であるため地震や風水害に対しても安全であり、防災情報の伝送経路としてあるいは既存の地上などの光ファイバー網のバックアップ経路として有望である。

地下鉄は都市内の拠点を結んでおり、内部空間が大きいという特長があり、下水道は都市内ほとんどに布設されており、都市内のネットワーク形成に適している特長があり、有機的に各々の内部空間を活用するのが望ましい。利用者としては電気通信事業者あるいは行政体(防災情報、一般行政情報など)が考えられる。公共資本の空間としての利用と多目的利用方法として位置づけることができる。

 

5. 「ランの館」

 

ランの館は、本市の都心に位置する100メートル道路のひとつである久屋大通りの南端、前津広場を模様替えしたもので、ラン生産日本一の愛知県を背景に年を通じてランを中心とした草花で彩り、おしゃれ感覚にあふれた、ゆっくりと花を楽しめる施設として平成10年5月に完成した。名古屋の都心のオアシスとして「夢」「楽しさ」「ロマンチック」をキーワードに、「花かざり」「ガーデニング」のための情報発信基地として名古屋の新しい都市魅力の創出を目指すものである。開場以来、ガーデニング、ランの愛好者や都心での買い物ついでに立ち寄った女性など多くの来場者を迎え、人気が高いことから市内観光ルートにも組み入れられたこともあって、平成10年度30万人の目標入場者数を、新年早々に達成できた。

久屋大通り公園(前津広場)は堀留下水処理場の上部に設置されている。堀留下水処理場は既成市街地を対象とした下水を処理するため、昭和5年に建設されたが、その後の激しい市街化の進展に対応するために、昭和40年代に拡張工事を行った際に、都心に位置することから、その上部を100メートル道路の公園と一体として公園化したものであった。南北方向の久屋大通り周辺は本市有数の賑わう都心であるが、近年南端での都市魅カ増強が求められていたため、前津広場を一新して「ランの館」を建設したもので、都心の公共施設空間というストックを活用した好例であろう(写真-2参照)。なお、ランを展示するのに際して、一定の室温が必要であるため、下部にある下水処理場から下水熱(下水は大気より夏冷たく、冬温かい)をヒートポンプの熱源として有効利用したり、庭園の水景施設の水源として下水高度処理水の利用も図っている(図-2参照)。

 

(1) 施設概要

 

1] 面積 約1.2ヘクタール

2] 建物(延床面積:2,372平方メートル)

・アトリウム(約600平方メートル、写真-3参照)

・花飾りモデル展示棟(約250平方メートル)

・小展示室(約200平方メートル)

・ガーデン・レストラン

・売店

3] 庭園部(約8,500平方メートル、写真-4参照)、中庭(約2,500平方メートル、写真-5参照)

 

 

 

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