さらに、千葉市自前の多目的施設を望む声がこれにマッチした。駅から離れ工業地帯にも近い一帯の活性化には、集客力のある施設が望ましいというストーリーである。
(1) 位置
JR千葉駅周辺の現都心から海側へ約1km、埋立地に広がる千葉中央港地区の一角に93年10月、千葉ポートスクエアがオープンした。
当敷地の隣接地では、千葉市総合卸売団地や流通センターが軒を連ねている。辺りに残る「問屋町」という地名は、一帯が問屋街として栄えた街であることを教えてくれる。
この場所からJR京葉線千葉みなと駅の方向へ進むと、周辺は、千葉市役所をはじめとする県や市の施設が続く官庁街となる。その上部には、千葉駅から続く千葉都市モノレールを目にすることができる。
JR京葉線を挟んで敷地とは反対側のベイエリアや県立美術館が完成するなど、ポートパークが整備されている。ポートスクエアが建つのは、このベイエリアと現都心を結んだ軸の、ほぼ中間点に当たる場所である。
千葉市では、JR千葉みなと駅を中心とする90haを「新業務地区」に指定し、この地区での業務・商業核の整備を進めて、約310haの現都心と一体化し、最終的には約400ha全体を千葉都心地区のコアに育成することを目標とした。しかし、新業務地区は、ほとんどが民間所有の土地で占められており、今回の敷地となった。旧中央卸売市場跡地は、数少ない市の所有地の一つである。