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(1) 市民公益活動への支援

 

企業による社会貢献活動をはじめNPOやボランティア等が行う市民による公益活動は、今後のまちづくりの一翼を担う社会の大きな力となり得るものである。NPOについては、特定非営利活動促進法が施行されたばかりでもあり、法人格を取得し事業主体となるには若干の時間を要すると思われるが、本市における公益活動を行う市民団体数は1,000団体を超え、今後ますます増加していくことが予想される。また、「活動を支援する市民活動」という新たな活動も現れるなど、活動内容は拡大の傾向にあり、活動範囲も市全域からさらに広範囲へと広がりを見せている。これまで行政や企業が中心となりて進めてきた分野において、今後は市民も柔軟性、迅速性、個別性といった特性を効果的に発揮し、多種多様なサービスを行い、多元的な社会を支えていくこととなる。

本市では、平成10年2月に提出された「仙台市市民公益的活動支援策検討委員会」の提言を踏まえ、市民活動団体のヒアリング調査や懇談会の結果などをもとに市民の意見を反映しながら、同年11月に「市民公益活動支援のための基本方針」を策定したところである。「施設の整備」「ネットワークの構築」「人材育成」「パートナーシップの形成」「推進体制の整備」「活動助成制度の充実」「企業の社会貢献活動の促進」の7つを基本施策の柱として掲げており、平成11年度中の総合的な市民公益活動支援施設「市民活動サポートセンター」の整備や市民活動支援条例の制定をはじめ、市民活動団体との連携事業の推進など、新たな視点に立った多様な支援策を講じていく予定である。

 

(2) 事業の再評価

 

時の経過に伴う社会経済情勢等の変化に応じて、事業の必要性、効果等を改めて検討することは、今や行政の必須事項となっている。本市においても平成10年12月より公共事業の再評価がスタートした。現時点では対象事業が道路や施設等の整備のみと限られてはいるが、公共事業の効率性の向上はもとより、事業の実施過程や検討結果を広く市民に公表し、市民の意見に耳を傾けるという点においては、今後の道標となるものである。さらに、市民ニーズの変化に応じた事業目的の再検討、あるいは費用対効果の観点からの有効性の確認等を行うため、事業評価システムの平成12年度導入に向けて検討を進めている。

 

5 終わりに〜市民との協働による都市づくりをめざして

 

これからの公共投資は、次に到来する時代状況を的確にとらえて、未来世代のための都市づくりという観点から行われなければならない。そのためには、効率的な行財政運営を推進し、将来にわたる財政の健全性を確保するとともに、行政が実施する各事業において市民の主体性や創意を生かすための仕組みづくりも欠かすことはできない。

最近、行政の計画書等で市民との「協働」「連携」「パートナーシップ」という文言をよく目にする。本市の基本計画においても「市民と行政の協働による都市づくり」を前提としているが、この「協働」を実現するための素地として、多様な手法によるきめ細かな行政情報の提供と公開、市民の意見やニーズを市政に有効に反映させる仕組みづくり、そして、政策の形成や執行過程における行政運営に関する適切な説明の必要性を強く感じている。都市を構成する市民と企業と行政が共通の目標に向かい、それぞれの役割を果たしていくという図式が定着するよう、様々な仕掛けを講じていくことは行政の責務であり、体制の整備が急がれる。

 

 

 

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