具体の事業としては、障害者、高齢者等による円滑な利用を図るために整備が必要なものを公益的施設とし、その新築、増改築等を行う施行主が整備すべき「整備基準」や「整備の目標となる指針」を定めるとともに、それらの具体的な解説とその他整備にあたり配慮してほしい施設の各部分の整備手法を示した手引書「施設整備マニュアル」を作成した。また、本市独自の財政支援として、「ひとにやさしいまちづくり施設整備補助金」と「ひとにやさしいまちづくり施設整備資金融資あっせん」の2つの制度を設け、事業者の積極的な取り組みを呼びかけている。ちなみに本年度は12月末現在において、理髪店、青果店、コンビニエンスストア、旅館、葬祭会館の5件の補助金申請があり、飲食店、歯科診療所の2件に対し融資あっせんを行っている。
しかし、事業を推進していくにあたり、クリアすべき課題は少なくない。整備基準を満たすためには、財政支援があるとはいえ、事業者はこれまで以上のコスト負担を覚悟しなければならない。また、施設等を利用する市民にとっては整備によりかえって不便を感じることもあるかもしれない。さらに、現在は市内一律の基準で実施しているが、中心市街地と郊外の住宅地では事業者の負担や市民のニーズも当然違うはずである。このように、さまざまな視点から事業を検証しながら見直していく必要があると考えている。行政はもとより、事業者や市民の理解と自主的な取り組みなくして「ひとにやさしいまち」はつくれないという共通認識を築き、実践的な取り組みを増しながら、地域特性を生かした都市づくりを進めていくことが大切である。
【財政支援制度の概要】
○対象者:不特定かつ多数の者が利用する施設等において一定の整備をしようとする施行主の方
ひとにやさしいまちづくり施設整備補助金
○対象工事(基準額):以下の5項目について、それぞれ1ヶ所あたりの基準額の範囲内で、その1/2を補助
1] 11人乗以上のエレベーターの設置(10,000千円)
2] 音声装置の設置等既存エレベーターの改善(1,500千円)
3] 車いす使用者対応トイレの設置(1,000千円)
4] 拡幅、段差の解消、自動扉の設置等出入口の改善(1,000千円)
5] 階段の手すりの設置(500千円)
* 学校等では3]〜5]、建築物以外の公共交通機関では3]と5]のみ対象。
* 1件の申請について、1ヶ所あたりの単価×箇所数の合計が100,000千円を超える場合は50,000千円を限度。下限は100千円で、100千円単位で交付。
○補助金の交付:工事完了後