III 「仙台市における公共投資」の現状と課題
〜事例面を中心に〜
仙台市企画局企画調整課長 瀬戸 和良
1 はじめに〜都市経営をめぐる環境の変化
我が国経済の急激な基調変化や産業構造の変化を反映して、財政運営のあり方、社会資本整備のあり方が、大都市においても極めて重要な課題となっている。特に、本市は、政令指定都市への移行の前後から、活力と豊かさに満ちた市民生活の実現をめざして、積極的に大都市としての基礎的な環境整備を進めてきたことから市債残高が急増し、厳しい財政運営を迫られている。国内経済が成熟化に向かう中で、大都市圏の経済力の成長にも大きな期待は難しく、地域経済の自立が今後一層求められてくるものと考えている。
一方、市民ニーズの多様化や地域の様々な変化が進む状況に対して、市民や企業が主体的に取り組む民間公益活動が広がりを見せている。現行の行政や企業のサービスだけでは充足しがたい「公的サービス」へのニーズの拡大に対応するため、行政と市民・企業の役割分担や民間の公益活動をどう活性化させ、都市づくりの中でどのように連携していくか、といった課題の再整理が求められている。
平成9年度に策定した本市の新しい基本計画「仙台21プラン」(計画期間:平成10年度〜22年度)においても「主体的・創造的な都市経営の確立」を基本目標の一つとして掲げ、このような様々な変化を乗り越え、将来にわたって市民が希望を抱ける「21世紀型都市・仙台」を創造するために、各種施策を展開していくこととしているが、以下、本委員会が設定したテーマごとに、現在の本市の取り組みについて述べる。
2 少子化・高齢化等長期展望に基づく新たな社会資本整備
(1) 仙台市高齢者保健福祉計画の推進
平成10年4月1日現在の住民基本台帳人口によれば、本市の高齢人口比率は12.27%と、政令指定都市の平均である13.92%を下回っているが、平成30年代初めには年少人口比率を上回り20%台に達することが見込まれている。