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(3) 維持更新問題の顕在化

 

東京都の社会資本は着実にそのストックの蓄積を増しているものの、国内他都市や海外大都市と比較した場合には、未だ低い水準にある。例えば、都内23区の道路率は、15.3%にすぎず、ニューヨークやパリの20%台には遠く及ばない。また、大都市圏の通勤電車のピーク時の平均混雑率は1995年度にJR203%、民間鉄道168%だったが、都内各路線の混雑率は、ほぼすべての路線でこれを超えている。このように東京都においては今後とも引き続き、過密解消や混雑緩和に向けた社会資本整備を図る必要がある。

 

東京都と他都市の道路率比較

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出典) 国内主要都市は東京都道路現況調書(H9)、海外は道路ポケットブック(H9)による。

 

一方、蓄積された都市基盤施設の老朽化の進展に対して今後維持更新問題が深刻化していくことが予想される。こうした問題意識から東京都では、1998年7月に東京都が管理する社会資本の維持更新需要額の将来推計を行った。この結果、東京都が管理する社会資本全体の2001〜2030年度の維持更新需要額の合計は約44兆円で、単年度平均は約1兆5000億円と推計され、過去10年間(1987〜1996年度)の単年度平均(推計値)約5400億円と比較すると、今後30年間に約2.7倍の水準に達するものと予想される。

 

東京都が管理する社会資本全体の維持更新費の推計結果

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注1) 金額はすべて95年度価格で、過去(1986〜1996年度)も含めすべて推計値。

出典) 東京都が管理する社会資本の維持更新需要額の将来推計(1998.7東京都)

 

 

 

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