○ 霞町用地土地信託事業
大阪の文化・娯楽の中心として発展してきた新世界地区における旧市交通局車庫跡地において、商業施設・アミューズメント施設・文化施設を一体的に整備し、地域の再開発の核として、親しみやすく魅力あふれるまちづくりを目指すこととしている。事業の実施に当たっては、1]と同様土地信託方式を活用して、民間活力の導入を図っている。現在の見込みでは、総事業費約300億円に対し、予想配当約57億円、市税収入約55億円を見込んでいる。
2] 今後の課題等
公共施設等の整備に当たって、民間活力の導入を図ること自体については、必ずしも新しい施策ではなく、これまでも民活法等を活用した第3セクター方式による事業が進められてきている。大阪市の例は土地信託方式であるが、横浜市においては、市が民間の住宅を借り上げて住民に賃貸する「シニア・りぶいん」「ヨコハマ・りぶいん」事業などが行われており、その手法は多様に存在する。
但し、土地信託方式についていうと、立地条件が良いということが、事業の成否に決定的な影響を及ぼすという点と、そもそもの発端は公共施設の整備というよりは遊休土地の有効活用の観点から考えられた手法であったことを踏まえておく必要がある。
特に、PFI方式の導入については、国レベルでの検討が途中であることもあり、各都市においても、現在のところ、調査検討段階である。
従って、大阪市の事例について行った検討を基に、地方公共団体があらかじめ配意しておくべき点について、述べることとする。
誤解を恐れずにPFI方式を要約すれば、民間事業者が提供する公共サービスを、地方公共団体が購入していくという手法である。従って、事業によっては、必ずしも支払うべき対価が明確でない場合もあり得る。その場合、これらのサービスを購入していく必要性が十分に議論されなければならないだけでなく、どこまで、あるいはいくらまで購入すべきなのかということについても、十分に検討を行い、それらを住民が確認できるスキームづくりが求められるだろう。