2] 新しい全国総合開発計画について
平成10年3月に「21世紀の国土のグランドデザイン」を表題に掲げた新しい全国総合開発計画が閣議決定された。全国総合開発計画は、国土総合開発法第7条第1項に基づき策定される国土づくりの基本的な方針となるものであり、今次の計画は第4次全国総合開発計画の閣議決定(昭和62年6月)から10年9ヶ月おいて策定されたものであり、その目標年次は2010-2015年としている(図9)。
これまでの全国総合開発計画と比較してみると、戦後50年の経済社会情勢の変化を背景として、国土の整備に当たっての基本的な考え方が、変化してきていることが読みとれる。まず、開発への要請が自然とのよりよい関係の構築や国土の質的向上を重視するものとなり、また、開発の主体についても、国主導から地域の選択と責任による地域開発が要請されるようになっている。特に、今次の全国総合開発計画においては、国・地域といった視点のみならず住民、個人の視点も加えた開発の課題設定が重視されている(図10)。
しかしながら、こうした開発理念の変化にかかわらず、今次の新しい全国総合開発計画においても、引き続き国土づくりのための着実な基盤投資の推進が求められており、今後の国土基盤投資は、財源上の制約を再認識しつつも、投資を真に効果的なものとすべきことを基本とし、その基本的な方向として、1]公共投資基本計画を踏まえ、重点的、効率的投資に努めること(重点的、効率的基盤投資)、2]地域の自然条件や経済社会条件の差異等に配意し効果的な投資を進めること(地域特性を踏まえた効果的な基盤投資)、3]計画期間に発現する人口減少、投資余力の減少等に効果的に対応できること(次世代に備えた効果的な基盤投資)、が掲げられている。
このうち、重点的、効率的基盤投資については、国民生活の質の向上及び経済構造改革に資する分野への公共投資の重点化を再確認するとともに、連携投資の推進を図ることとし、国土基盤整備に携わる省庁間、地方公共団体間の適切な連携が必要とされている。また、「公共工事コスト縮減対策に関する行動指針」に基づき建設コストの縮減を図るとともに、新たな基盤整備を進めるのみでなく極力既存のストックを活用することを提言している。
また、地域の特性を踏まえた効果的な基盤投資については、地域間の不均衡の是正を実現するための拠点施設等に重点的に投資するとともに、地域のニーズを反映した基盤投資の仕組みを整えることとしている。
更に、次世代に備えた効果的な基盤投資については、新技術の開発に係る投資を一層進めることが重要としている。