第I部 歴史的遺産・伝統文化の保存・活用の意義、方法等についての提言
歴史的遺産・伝統文化の保存・活用の意義、方法等に関して、当懇談会で出された提言を項目ごとに整理すると以下のとおりである。
1 歴史的遺産・伝統文化の活用による地域おこしの意義
(1)世界の動き・時代の流れ
○EU統合を背景に、文化の防波堤としてドイツやフランスでは新「国学」の流行する兆しがある。しかもそれはネオナチ等ではなく、必然的でやむにやまれぬ大事な問題として勃興してきている。
○世界中の情報が自宅のデスクに飛び込んでくるような時代になって、一つの町がどう説得力をもつかというと、それはほかのどの地にもないような伝統文化、歴史的遺産を持っているかどうか、そしてそれを現代にどう生かしているかということではないか。
○2時間以上ある子供のお神楽を海外の若い音楽家に見せたところ非常に感激していた。地域が個性を持つということは国際性もあるということである。
○世界中に伝承されている文化が日本列島にうまく潜んでいるか、すなわち日本の再生と世界の文化の関連ということも見落とせない視点ではないか。
○文化は最高の経済である。
(2)神話・伝説等の位置付けの変化
○神話や伝承について、見直そうというのも日本人に夢を与える一つの試みであると思う。
○松江では十数年前から銅鐸や銅剣は出てきており、神話が必ずしもおとぎ話ではなく、現実的な裏付けのあるものだという認識が広まりつつある。