一般原則
1. 政府は、「資本費用」を明細に記述するために、民間部門との比較において中央政府のインプット及びアウトプット費用の効率化を図る必要がある。時系列的に公共支出を比較するために、また同様に生産される公共サービスの代替方法を比較するために、割引率もまた必要となる。また最終的なアウトプットが評価されるときたまに費用便益分析が用いられる。
2. 資本費用と標準割引率には、実質6パーセントという同じ数値が設定されている。本別添の添付資料では、その試算方法について概説する。以下においては、標準割引率に対するいくつかの特例事項について述べる。
3. 中央政府の一部機関では、そのアウトプットを競争市場で販売しているが、その資産に対する「法定収益率」の面で規制を受けている。後述するように、この収益率は資本費用に等しいか、それより高いこともある。
特殊ケースの割引率
4. 数項目を除き、すべての公共支出項目には標準割引率を適用すべきである。非標準割引率が適用されるのは、次の場合である。
■公的支出と歳入に対する時間選好が関連概念にならない場合。
■価値尺度財が実際の公的支出や歳入と異なる計量である場合。
■特例的システムリスクがある場合。
■特定機関に対して特別の政策調整が行われる場合。
■割引が非常に長期に渡る場合。
公的支出及び歳入に対する時間選好が関連概念にならない場合
(i) 税制改革もしくは課徴金や補助金の適用時期変更といった公的措置に対する「市場の反応予測」に割引率を使用する場合は、当該生産者や消費者が使用する割引率を採用する。
(ii) 政策目標として「受取側機関をそれ以上良くも悪くもしない」ように、将来の一連のキャッシュフローを資本金額へ(またはその逆に)換算する際に割引率が必要になる場合は、受取側機関の特定権益を反映させた割引率を採用する。通常この割引率は、比較する各種案に応じてその機関の借入割引率か貸出割引率になる。(受取側機関ではなく、納税者の権益を事前評価する場合も、6パーセントの割引率を適する)。
(iii) 「海外援助プログラム」に基づくプロジェクトでは、受取側経済の下での資本の機会費用推定値から推算した単一割引率を各受取国に使用する。(こうした事前評価では潜在価格も使用し、あれこれの面で最適国際慣行-特に世界銀行の慣行-に適合させる)。
(iv) 「産業援助」は、特定市場における商業的貸出しの代わりとして実施する。別添Eにおいて説明したように、産業援助は、通常、特定のプロジェクトやプログラムに対する商業的資金調達コストに近い率で評価すべきである。別添Eで説明したように、工業援助融資の補助金相当額は、実際の返済額とBCR割引率による返済額の金額差を「広義の商業的割引率」(BCR)(実質的ではなく、名目的割引率)で割り引いて算定する。