14. 事前評価過程から得た総合的結論の確かさを調べる場合は、常に感応度分析を実施すべきである。感応度分析が特に重要になるのは、次の場合である。
■費用や便益の推定値に不確実性が認められる場合。その例としては、重要な新技術や実質的移転を伴うプロジェクト、大型建設プロジェクトや大規模な建物改装、市場占有率の予測などがある。
■管理段階であっても潜在的に予算問題を引き起こす恐れのある不確実性を伴う選択肢がある場合。その例としては、総予算に比べて大規模なプロジェクトや、たとえば需要リスクなどが原因となるような大きな不確実性を伴うプロジェクトがある。
こうした条件は、中央政府の多くの投資案にも当てはまる。
15. また、シナリオ法やモンテカルロ分析法というた他の技法を採用できる場合もある。リスクを明確化かつ計量化する技法については、本別添の添付資料においてさらに検討する。
リスク・コストの削減化
16. パイロット事業や継続研究調査を通してプロジェクトに影響を与えるリスク情報をより多く収集するのもよい。こうした情報収集により、「悪い」結果の悪影響を軽減したり、「良い」結果の便益を増大させる対策を講じることもできる。こうした方法で不確実性を低減すれば、プロジェクトの期待費用を削減できる(または期待便益を増大できる)。大型情報化プロジェクトにおけるパイロット事業は共通しており、たとえば必要とされる研修量、実務の改革などにより人件費が節減できるなどの経験的情報を提供する。継続調査では、新技術の信頼性を確認または否認できる。建設プロジェクトでは、立地調査により未知の敷地条件や改修費によるリスクを低減できる。
17. 柔軟な計画もリスク・コストを削減できる。将来の需要や相対価格が不確実な場合は、特定の結果のみに適する計画よりもむしろ、将来の変動に対応できる柔軟な計画を選定する方がよい。たとえば、将来の代替燃料の相対価格に応じて、ボイラーを2基設置すれば2種類の燃料を使用することもできる。十分な基礎工事や適切な橋梁計画は、将来交通量が増えた場合の道路拡張費を削減できる。プロジェクトを数段階に分ければ、プロジェクトを柔軟にでき、各審査時点でプロジェクトの停止や変更を行える。
18. 柔軟性を導入すると、たいてい何らかのコストがかかる。柔軟な計画の費用効果を評価する場合は、異なる結果が発生する可能性、プロジェクト期間中の設計変更費、将来の需要や相対価格が期待したものと異なる場合の「悪化」という不利な条件などを予測する必要がある。
19. たとえば刑務所や病院のように、過去の経験から得た教訓を導入し、新しい設計要素の数を減らすことにより、リスクの低減が図れるような標準設計を採用する方が費用効果が高い場合もある。
20. 取引当事者のリスクは、供給業者と顧客間の契約条件や保険により、何らかの費用を払って他者へ移転すれば低減できる。