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第3章 事後評価の諸要素

 

事後評価手続き

3.1 評価では、プロジェクト、プログラム、政策の結果を検討する。そうした評価を行えば、将来のプロジェクト管理や特定政策づくりに役立つ教訓を経験から得られるという付加的な価値も生ずる。また、政策論議の枠を広げるという質的利点もある。

 

3.2 評価の準備段階では、通常、解決すべき問題、投入可能な職員とその他の資源、期間と費用の概算、誰が審査すべきであるかなども含めた評価の一般的枠組みを設定する評価計画案づくりから始めるのがよい。

 

3.3 事後評価自体は通常、次のような手順で進める必要がある。

(i) 評価すべき事項と、過去の結果に対する評価方法を的確に設定する。

(ii) 事実と異なった比較検討として別な社会情勢や別な管理決定を選択する。

(iii) 評価結果を目標とする結果と比較し、また選択した別な社会情勢及び別な管理決定で得られた結果と比較する。

(iv) 評価結果と推奨事項を提示する。

(v) 評価結果と推奨事項を普及させ、利用する。

 

(i) 評価すべき事項と、過去の結果に対する評価方法を的確に設定する

3.4 評価すべき活動を明確にする必要がある。それは、省庁の政策及び管理上の目的や目標に関連したものとし、そうした目的や目標の各種達成方法を締め出すような狭い範囲に設定してはならない。評価対象は、プロジェクト、プログラム、政策、特定活動面、多くの活動にかかわる重要な共通問題であってもよい。また、それは特に評価する上での指針となるべきである。

 

3.5 事後評価の基本原理、目的、目標、結果は、元の文書から採択した明確なものとすべきである。当初、目標や目標変更に関して評価者間に意見の相違があれば、それらを書き留めておく必要がある。そうしなくても、そうした相違点は評価において発見される重要な報告事項となるが、評価を一層困難にするものでもある。

 

3.6 目標と産出(outputs)は、下記の段階(iii)で使用するために、できるかぎり正確に設定かつ定量化すべきである。特に、最終結果(政策目的)と短期的または中期的産出(政策目的達成のための投入データとみなすべきもので、それ自体最終目標とはならない)とを峻別することが重要である。通常は、最終産出よりも短期的産出と中期的産出の方が評価しやすい。1

 

3.7 産出と実績の測定方法及びその他モニタリングデータを活用できるかどうか、これらが活動目標とどのように関連しているのかを再検討すべきである。こうした情報を十分入手できなければ、たとえば調査や研究を依頼するなどして追加データの収集を考慮すべきである。理想を言えば、プロジェクト開始と同時に所要データを検討すべきである。

 

1 目標の設定については、第2章の枠内で述べた通りである。

 

 

 

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