溝口町長は、「総務課や議会事務局の職員にも大型免許を取らせて除雪作業にあたらせるなどの努力をしており、これ以上の行革は住民サービスの低下を招くおそれがある。」との懸念を示された。中尾氏は、「リストラとは改革であって、人減らしではない。そのためには、時間をかけて単純作業をアウトソーシングしていくこと、徹底的に情報化武装すること、財政難の時には思い切って減税するなど発想を変えることが必要である。」と民間の立場から行政のあり方について意見を述べられた。また、萩野氏は、議会の役割について取り上げ、「地方議員に、政策の立案に向けて一生懸命勉強していただきたい。」と要望された。次に、広域行政について、溝口町長は、「市町村合併について上からこうしろとは言えないが、消防、ごみ、下水道など一部事務組合や広域連合でやっていくことが将来の合併に向けた気運の醸成につながるのではないか。」との考えを示された。
続いて、財政自主権の問題について、中沖知事は、歳出規模に見合った税源配分の確立、公債費対策、地方消費税の配分の拡大などの措置が必要とした。溝口町長も、高利の政府資金の繰上償還や借換といった措置を認めるべきと述べられた。
(3) 分権型社会の実現に向けてのキーポイント
岩崎氏は、『自己決定、自己責任』について、「別に不思議なことではない。」との認識を示され、国が倒れると地方も倒れるという「ドミノ」状態を回避するため、国、地方すべてのレベルで自己責任を実現する必要があると強調された。萩野氏も、それに加えて、「行政が何をやっているのか住民に見えるようにすることが求められる。」と『公正・透明』の必要性を提起され、行政手続条例、情報公開条例、個人情報保護条例の3点セットが「21世紀の自治体にとって不可欠なものである。」と述べられた。
(4) その他
最後に、中尾氏が、地方公共団体と民間との人事交流がもっと必要であること、地方公共団体にコスト意識が欠けていること、地方公共団体の決算書がわかりにくいことなどを指摘された。
なお、この後、参加者3名から質問があったが、紙面の都合により割愛させていただく。
おわりに
いよいよ地方分権が実行の段階に入ってきたこの時期に、このフォーラムが本県で開催されたことは大変光栄なことである。このフォーラムが、「分権型社会を創造するために、地方に住む者が何をすべきなのか」その答を見つけるための契機となったとしたら幸いである。
最後に、この場をお借りして、地方六団体、財団法人自治総合センターの皆様をはじめ、フォーラムの開催にご協力いただいた関係各位に厚くお礼申し上げる。