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ふるさとみやざき環境シンポジウム

「森からの贈り物」

吉田親志 ((財)宮崎県環境科学協会管理部長)

 

○シンポジウム開催にあたって

平成10年10月30日(金)に宮崎市の宮崎県立芸術劇場において、現在の環境問題を広く県民各界各層の方々と一緒に考え、環境保全意識の高揚を図ることを目的として、自治省、宮崎県、財団法人自治総合センター及び私ども財団法人宮崎県環境科学協会の主催により標記シンポジウムを開催いたしました。

シンポジウムの企画に当たっては、宮崎県は県土の76%が森林で覆われ、全国有数の森林県であること、また、従来から言われているような森林が持っている水と土壌の保全機能に加え、近年、地球温暖化防止策としての二酸化炭素吸収源機能がクローズアップされていることなどからシンポジウムのテーマを「森からの贈り物」とし、そのテーマに沿う形でアニメ映画「木を植えた男」の上映、見城美枝子さんの基調講演、小室等さんの「森の詩コンサート」及びパネル・エコ商品の展示を行い、参加者に森の持つ自然環境保全機能を再認識してもらうとともに、広く地球環境保全について考えていただく契機となるものにしたいと考えました。

当日は平日にもかかわらず、県内の行政関係者、企業関係者、一般県民及び小学生、高校生など、約800人の参加者があり、環境に寄せる県民の関心の深さを改めて実感したところであります。

以下、「ふるさとみやざき環境シンポジウム」の概要についてご報告いたします。

 

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主催者挨拶

 

○アニメ「木を植えた男」の上映

主催者の挨拶の後、1987年度のアニメ部門のアカデミー賞を受賞した「木を植えた男」を上映しました。

映画は、30分程の短いものであり、私も当日、会場で初めて観たわけでありますが、観終わった後には何とも言えない感動が残りました。

ストーリーとしては単純なもので、ひとりの羊飼いが南フランスの砂漠化した荒野にもくもくと木の種であるドングリを長い年月をかけて埋めていく姿を語り手である青年の目を通して描いているだけです。

しかし、長い年月の間に埋めたドングリは、大きな森に成長し、そこには緑や水、鳥や動物などがあふれ、かつての砂漠化した荒野の面影は消え失せ、大自然からの恵みを享受する人々の姿があり、羊飼いがドングリを埋め始めた頃には想像もできなかった世界が広がっていたという話です。

これは、私だけの考えかも知れませんが、作者はこの映画で一人の人間の力でこんな大きな森が作れるのだから、多くの人々の一人ひとりがこの男の何分の一、何十分の一かの力を出し合えば、自然環境を守り育てるのはそれほど難しいものではないということを訴えたかったのではないかと感じました。

 

 

 

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