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21世紀の主役は雪国である

―地球環境にやさしい雪の都「ふながた」をめざして―

鈴木勝治(山形県舟形町長)

 

舟形町は、山形県の東北部に位置する人口7,500人の中山間地域に属する稲作農業中心の小さな町です。面積が118.78km2あり、東西に細長い町です。周囲を奥羽山脈、出羽丘陵の山麓に囲まれ、最上川に注ぐ清流「小国川」に沿って拓けた町です。12月上旬から3月下旬まで降雪があり、多い年には積雪が2m以上にもなる全国でも有数の豪雪地帯でもあります。

また舟形町は、昭和20年代から30年代にかけて亜炭で栄え、全国でもトップクラスの生産量を誇っていましたが、石油エネルギー革命により亜炭産業は急速に衰退し、人口流出に拍車をかける結果となってしまいました。昭和45年には過疎の町に指定されました。こうした歴史の変遷を経て、最近では清流小国川の明治天皇に献上されたという「松原鮎」と、古代縄文時代(4700年前)の豊かなロマンを醸しださせる日本最大(45cm)の「八頭身美人土偶」(平成10年6年30日国の重要文化財に指定)が出土した町としても有名です。

県内44市町村で唯一「温泉」のない町でしたが、平成4年にふるさと創生資金の有効活用を図り、深度1,224m地点から温度48℃、湯量毎分100の温泉を掘り当てました。その後、中山間地域農村活性化総合整備事業等の事業導入により温泉施設の整備(清流センター、大浴場、露天風呂、サウナ、食堂)を図り、周辺一帯を「あゆっこ村」として、コテージ、バンガロー、キャンプ場、炊事場棟、センターハウス、ゲートボール場、テニスコート、ウッディパーク、運動広場、観光果樹園等の更なる整備により魅力一杯の観光スポットとして生まれ変わりました。隣接して東北では初めての県民ゴルフ場も10月10日にオープンし相乗効果が期待され、年間20万人以上の誘客が見込まれています。

舟形町の誇れるものに、雪の利用があります。毎年降る無限の雪を生活や産業に利活用できないか昭和62年頃から研究に取り組んでいます。平成元年にふるさと創生資金の一部活用により、「雪氷室」を設置しました。コメ、玄そば、ラ・フランス(西洋ナシ)、花木など農産物の長期貯蔵に雪が最適の環境を創り出すことが確認されました。地元の農業青年会議所のグループでは、「雪室貯蔵米」として通年、安定した食味を確保しながら付加価値を高め販売に力を入れています。

平成6年に世界でも初めてという空気と雪の直接熱交換による「雪冷房システム」を既存の町営施設に導入しました。電気エネルギーに比較して大幅にコスト軽減が図られ、雪をエネルギー源とした全く新しい試みです。体感された方は「自然で爽やかな涼風」と好評です。電気に頼らない、フロンを使わない地球環境保全に配慮したエネルギーシステムです。国連の広報でも紹介されました。明後年に雪サミットを当町で開催します。「克雪」から「利雪」へ21世紀はいよいよ雪国の出番です。

 

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貯雪ピット(除雪ロータリーで、一気に60tの雪を投入する)

 

 

 

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