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熊本県阿蘇郡の10町村では、同じ広域事務組合を結成してはいるが、事務組合の他に「阿蘇環境デザインセンター」を組織している。ともすればハードな事業に偏りがちな広域事務組合の仕事を尻目に、観光イベントや広域の事業計画策定など、ユニークな仕事に積極的に取り組み、成果をあげている。

第2は地域アイデンティティの重要さである。固有の地域に帰属しているという同一感があればこそ、その地域に愛着を感じ、その地域に踏みとどまって頑張ろうという気持ちになるのである。そうした地域と同一感を持つ人々がいて始めて、地域のまちづくりが展開する。そういう人々が多様で個性的なまちづくりを展開して始めて、国土が効率的に管理できるわけである。

市町村合併についても、短期的な視点だけによる行財政運営の効率化を主張して合併に至るのではなく、こうした広域でのソフト、ハードの取り組みを十分進めつつ、固有の地域が、地域としてアイデンティティを保持できるよう地域レベルで取り組むことが重要である。

 

プロフィール

岡崎昌之(おかざきまさゆき)

福井県立大学教授

1945年 岡山県生まれ

1970年 早稲田大学第一政経学部経済学科卒業

1970年 (財)日本地域開発センターへ、企画調査部長、月刊『地域開発』編集長歴任

1994年10月より、福井県立大学経済学部へ

1997年4月 福井県立大学経済学部教就任

 

北海道池田町や大分県湯布院町、島根県隠岐島等での「まちづくりシンポジウム」の開催。

沖縄での「シマおこし研究交流会議」の開催。これらの活動を通じて、地域再生、まちづくりの現場での調査や企画に携わる。現在、各地での地域づくりの計画策定や住民と行政の共同による地域再生に取り組む。

また、スイス山岳居住協会(SAB)、チューリッヒ連邦工科大学、米国オレゴン大学等と共同で山間過疎地域再生調査の実施(1991年〜)。

放送大学客員教授として「地域経営論」の担当(1995年度より)、自治体学会運営委員・同企画部会委員、岡山県行財政改革懇談会専門委員、国土審議会北陸地方開発特別委員会専門委員、まちづくり市民財団理事、全国地域リーダー塾主任講師((財)地域活性化センター)、熊本県小国町九州ツーリズム大学地域づくり学科長、その他

 

 

 

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