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時代を乗り切る新しいまちづくり

岡崎昌之(福井県立大学経済学部教授)

 

1 まちづくりの原則を再認識

地方分権議論が経済情勢の煽りを受けて、ひととき頓挫してしまったような感がある。非常に残念でたまらない。地方分権は明治維新、戦後改革に次ぐ第3の改革と期待していたからである。詳細な点では様々な批判や反論があるかもしれないが、分極化の流れは世界の先進国では、既に後戻りできない、大きな潮流である。日本の経済情勢のみならず社会状況までもが、大きく後れを取りかねない情勢であることを認識しなければならない。

そうしたなかで、まちづくりと地方分権をめぐって最も重要なことは、それではまちづくりを如何に進めるかということである。

これまで別の機会に幾度か述べてきたように、まちづくりの基本的な原則として、次の三点は変わらない。つまり地域の「自立性=自律性」を考えること、外の力に安易に頼ることなく地域の内側から「内発的」に思考すること、そして一時の思いつきや、たまたまの回ってきた事業としてまちづくりに取り組むのではなく「永続的」な試みであること、ではなかろうか。

時を経て言われている“まちづくりの原則”ではあるが、現在のように変化が激しく、世界的なレベルで社会や経済の枠組みが変わりつつある状況のもとでは、これらの原則は、より一層、その意味合いと重要性を増している。

 

2 リゾートブームからグリーンツーリズムヘか?

例えば、このところ注目を集めている“グリーンツーリズム”ひとつとってみても、このことは明らかである。

1987年の“リゾート法”以来、バブル景気に乗って、リゾート開発ブームとかで、全国律のスキー場、ゴルフ場開発が、遅れをとらじと各地で実施された。そのことがまちづくりや村おこしの代名詞とさえ言われもした。しかしながら、こうした開発行為をまちづくりの名のもとに受け入れてきた地域の惨状は、今や目を覆うべきものがある。

このところの少雪も手伝ったのか、かつてのようなスキーブームはもはやない。バブル崩壊でゴルフも控えめだ。大規模な真新しいホテルやゴルフクラブが、来るあてのない客を待って、山中にそびえ立っている風景は、見る人に物悲しささえ覚えさせる。

これらリゾート開発の幾つが、地域の自立を真剣に考えたであろうか。また地域の外の力に頼ること無く、自らの意志でやり通そうとしたであろうか。

そして今後30年、50年と、長期に渡って地域を担う施設と仕組みに仕立てようと考えられたであろうか。

こうしたリゾートブームの反省に立ち、現在、導入されようとしているのがグリーンツーリズムをめぐる地域での動きであろう。ただこのグリーンツーリズムでさえも、一種の流行のように、とらえているきらいがある。たんに中央から指し示された方式と体制に、安易に依存することなく、それぞれの地域の個性と資源に従ってことを進めるべきであろう。

 

 

 

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