日本財団 図書館


014-1.jpg

康楽館

 

○鉱山の歴史的文化遺産

小坂町は、小坂鉱山が繁栄した明治時代の文化遺産が多数現存しています。明治38年に建設された「旧小坂鉱山事務所」や、小坂鉱山従業員の娯楽施設として明治43年に建築された日本最古の木造芝居小屋「康楽館」など、明治期の風格を残し、現在では日本の近代化遺産として高く評価されている建造物が小坂町のシンボルとして存在しています。特に「康楽館」は、正面がアメリカ木造ゴシック風でありながら、内部には桟敷席、花道、回り舞台、切穴(スッポン)を有する本格的な日本風芝居小屋です。

そこで小坂町は、康楽館周辺を町のシンボルゾーンとして、明治の時代空間を演出する「百年通りづくり」を進めました。康楽館を改修し、康楽館に面する「町道停車場線」を煉瓦張りの歩道や水路、ガス灯風街灯や一部石畳の車道等、明治期の雰囲気を醸し出すルネッサンスアベニューとして整備しました。また、国際観光モデル地区に指定されたことにより、煉瓦様式で親水空間を演出して「国際交流広場」を康楽館に隣接して建設し、これらの施設は、文化交流拠点、観光拠点として整備を進めてきました。また現在においては、「旧小坂鉱山事務所」を康楽館周辺へと移築を進めており、滞留型観光地区としての機能充実に努めています。

「康楽館」では、昭和61年のこけら落としから浅草の芝居一座による常設公演を毎日行い、また昭和62年からは市川團十郎、尾上菊五郎、中村芝翫、中村吉右衛門など当代の人気役者による「康楽館歌舞伎大芝居」を催すなど、芝居小屋として充実した役目を果たしています。

 

014-2.jpg

旧小坂鉱山事務所

 

○「康楽館歌舞支大芝居」

この「康楽館歌舞伎大芝居」を通して、「誇れるまち・こさか」を目指すボランティア組織が生まれました。

この組織は、芸術・文化活動団体、老人クラブ、自治会、婦人団体、ライオンズクラブ、康楽館友の会等多数の組織や団体が集い、康楽館での歌舞伎公演を通じて芸術・文化の普及や向上を図り、また、地域の活性化に寄与することを目的として組織されました。

町内外から歌舞伎公演へいらっしゃる一般観劇者の受付、日本古来の芝居小屋に入館される方々の桟敷席等へのご案内、時間を割いて歌舞伎公演の成功へご協力いただいているボランティアや関係者への炊き出し等、歌舞伎をご覧いただく方々の車での来館をスムーズにまた安全を図るための駐車場整理、本格的な歌舞伎公演であるための大掛かりな舞台装飾の設営等、約70数名のボランティアにより「康楽館歌舞伎大芝居」が運営されております。

これは、端的に歌舞伎公演を成功させるためだけではなく、日本の産業文化である「康楽館」を小坂町の誇りと感じ、その小坂町を広く紹介したいという気持ちから集うところとなりました。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION