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鉱山文化の中でのコミュニティ

小笠原孝広(秋田県小坂町企画振興課)

 

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○十和田湖と鉱山の町

小坂町は、北東北三県(秋田県、青森県、岩手県)のほぼ中央に位置しており、東西に21.1km、南北には24.6kmと面積178.10mm2の町です。町の北東には世界に誇れる国立公園「十和田湖」を有し、非常に自然環境に恵まれた地域です。

また、1861年に鉱山が発見されて以来、東洋においても有力な鉱山として「小坂鉱山」は発展を続け、小坂町も地域経済や文化において、小坂鉱山とともに地域の活性化が促進された「鉱山の町」として歴史を歩んできました。明治期においては、電信電話、上水道、鉄道及び病院などの生活関連施設は、基本的に鉱山関連施設として小坂鉱山が整備を行い、陸上競技場や野球場も小坂鉱山の50周年記念として建設されました。

人口も鉱山の発展とともに従業員が増加し、大正6年には2万人強と秋田県内第2の都市として栄えておりました。

しかしながら、昭和後期の急激な円高や鉱量の枯渇により小坂鉱山の合理化が行われ、また平成2年には採掘部門の閉鎖で製錬部門を除き小坂鉱山は閉山となり、鉱山や関連企業の従業員等の流出により、人口減少、高齢化、少子化などが層進み、過疎の町へ転じることとなりました。

 

○小坂町総合計画におけるコミュニティ

小坂町では平成3年3月に小坂町総合計画を策定し、3つの基本目標を提唱しました。

第1は「誇れるまち・こさか」です。これは、現在の多種多様な文化や生活様式の大きな変化に対応するため、小坂町のもつ良さやすばらしさを再発見し、他の地域にない個性的で住民が長く誇りの持てるものを保存や活用、または新しく作り上げていくことを目標としています、

第2は「強いまち・こさか」です。住みよい町や活力ある町を目指し、活気あふれる産業やたくましい地域基盤の整備に努めることを目標としています。

第3は「やさしいまち・こさか」です。暮らしやすく住民どうしの連帯感に支えられ、生きがいあふれる地域社会づくりを目指すため、清らかで暮らしやすい生活環境や、小坂町の特性をふまえた福祉理念を確立した希望と生きがいあふれる社会を構成し、また、毎日の生活の中で町の将来ビジョンについて共通の目標として町民のエネルギーを結集し、住民に支えられたまちづくりを目標としています。

そこで小坂町は、「やさしいまち・こさか」の中で様々な団体やグループの自主的活動を尊重し、拡大や育成に努め、住民相互のふれあいを高めるコミュニティシステムを確立するとともに、対話型の行政により住民主体の地域づくりを目指して、活発なコミュニティ活動を促進してきました。

しかし、実際自主的な団体によるコミュニティ活動は、「やさしいまち・こさか」という概念から、「誇れるまち・こさか」の事業として活発に行われることとなりました。

 

 

 

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