日本財団 図書館


ガスは、埋立地に差し込まれた70本のシリンダーで収集され、ニ重の脱水装置により処理、加圧された後、市の中心部に送られ、蒸気ボイラーの熱源として使用される。ここで、デポガス4に対し、都市ガス6の割合の熱源により作られた熱蒸気は、市役所などの公共機関を含む120の建物の暖房に利用されている。

ハイルブロン市だけでなく、ドイツの多くの都市で様々な形でデポガスが利用されており、「ゴミを直接燃やして処理する代わりにガスを採って減量し、しかも、埋め立てた後は、ブドウ畑として貸与する。」現地調査及び意見交換を通じて、環境とエネルギーについての真剣かつ徹底的な取組とその合理性に感銘を受けた。

 

011-1.jpg

ハイルブロン市のゴミ処理場及びデポガス採取シリンダー

 

3] ハイルブロン発電所

市内には、「シュワーベンエネルギー供給有限会社」(州25%、民間電力会社75%出資)の大きな発電所があり、せっかくの機会でもあったので見学した。

ここでは、石炭を主力とする火力による発電を行っているが、特に、最近、近隣の下水処理場の発生汚泥を石炭と混合して活用する試みをはじめていることが印象に残った。

 

2. イタリア(ローマ市)

ローマ市は現在人口約300万人のイタリアの首都。

我々は、ローマ市環境エネルギー株式会社(ACEA)のスウド下水処理場を訪ねた。

当社は、現在、水に関すること、つまり、水道、下水道、水力発電、水運などを一括して行っている。イタリアでは、国内最大の経済都市ミラノ市をはじめ、全国的に民営化の方向となってきており、当社も、今年の1月から、株式会社化したばかりである。ただし、現在はまだ株式の98%を市が保有している。

さて、下水道についてであるが、長く十分な処理がなされないまま放流されてきたが、1970年代のはじめにようやく、全人口分の下水処理を目的に4つの処理区が設定され、80年代から、活性汚泥法による処理場が完成した。現在のローマ市の下水道普及率は85%。

実は、当初、民営化への取り組みや成果など会社の全体像について、広報担当者などにも対応いただきたい旨申し込んでいたところであるが、夏のバカンスの関係とかで、処理場の責任者のみの対応となった。

やや技術的内容となったが、ローマ市における下水の処理システムについて、調査団の技術者を中心に大変詳細にまとめていただいている。いわゆる事務屋で、システムの特色をこの紙上でコンパクトに紹介する力がないことを大変残念に思う。この点に興味のある方は是非報告書を。

 

011-2.jpg

スウド下水処理場での概要説明

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION