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第12回海外公営企業事情調査団に参加して

田中豊(自治省財政局準光栄企業室課長補佐)

 

はじめに(財)自治総合センター主催の海外公営企業事情調査団も今回で第12回となりました。各地方公共団体の公営企業関係者の多数の参加のもと、7月15日から24日までの10日間、ドイツ、イタリア、フランスの3カ国を訪問し、海外の公営企業事情の調査並びに意見交換を行ってまいりました。

具体的には、ドイツでは、マインツ市の水道とハイルブロン市のデポガス、イタリアでは、ローマ市の下水道、フランスでは、セレ村の農村地帯における小規模な下水処理の現地調査などを中心に、限られた日数の中ではありましたが、総勢18名、連日精力的に調査を続けました。

その調査結果の詳細については、今後とりまとめる報告書に譲ることとして、ここでは、その概要と、たまたま団長を仰せつかった者として、私なりの多少の雑感を述べることとしたいと思います。

 

1. ドイツ

1] マインツ市の水道

マインツ市はドイツの西部のラインラント・プファルツ州の州都で、ライン川とマイン川が合流するライン川左岸に位置し、古くからワインの産地として知られる、人口約18万人の市である。

水道供給を担当しているマインツエネルギー供給公社(株)のアイッヒ浄水場を訪れた。この会社は、1958年に市を株主として民営化されたもので、水道のほかに、交通、ガス、電気の各事業を行っている、職員数約160人、年間の事業収入1000億円程度の会社。全体としては、収支均衡しているが、部門別では、交通はかなりの、水道は若干の赤字とのことであった。

当浄水場では、ライン河岸の深井戸から地下水を揚水し、硬度が高い(石灰分が多い)ため、水質を軟化処理施設により、改善した後、供給している。また、「公」の地下水を守るため、地表水を採取して、管等により地中に浸透させる人工的な地下水滴養施設も設置されている。日本ではあまりなじみのない、この2つの施設を中心に話を聞いた。

ドイツでは、地下水などの水源を涵養し、汚染を未然に防止することなどを目的に、水源保護区域が設定され、様々な規制が加えられている。このように、水源を「公」のものとして、将来の水質の保全を図っていくことは、今後我が国においても大変重要なことと思われた。

 

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マインツ市アイッヒ浄水場にて

 

2] ハイルブロン市のゴミ処理とデボガス(ゴミ埋立場から発生するメタンガス)

ハイルブロン市は、ドイツ西南端のバーゲン・ヴュルテンベルク州に属する、ネッカー川沿いの人口約12万人の都市。

市のゴミ埋立場は、郊外の小高い丘陵地にあり、周辺はブドウ畑となっている。年間4万トンのゴミは、埋立当初は好気性でのバクテリア分解だが、次第に嫌気性分解に移行し、デポガスが発生する。ゴミ1m3から、20年間で100〜150m3のガス(組成中メタン40%〜50%)が発生し、これにより、ゴミの容量も40%〜50%に減量される。

 

 

 

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