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また、現実に地方公共団体の分身的な存在となっているいわゆる第3セクターについては、49%の市長が「一般的な根拠法を定め、地方公共団体の一定の関与のもとに効率的な運営を行うことができるようにする。その場合、職員等の派遣等についても必要な規定を設ける」と回答している。

次に、自治行政の運営上の問題については、地方公務員制度について47%の市長が「地方公務員の給与に能力主義、実績主義を積極的に導入する」、28%の市長が「多様な任用制度、勤務形態を創設する」等となっている。また、地方財務会計制度について、いわゆる長期継続契約制度の範囲の見直しを求める意見が39%、行政財産、普通財産の区別を廃止して地域のニーズに対応した弾力的な財産管理を可能とするよう求める意見が36%等、かなり基本的な部分にわたって見直しを求める意見が出ている。

また、住民との関係については、前述のコミュニティの自治組織の問題のほか、住民投票について「意思決定の参考とするため、重要な施策については住民投票を行う制度を取り入れる」との回答が20%ある反面、38%の回答は「現行のままでよい」としている。住民監査請求、住民訴訟については、「現行のままでよい」が31%ある一方、「地方公共団体として、正規の手続きを経て行った職務行為については、地方公共団体が被告となり得る制度とする」が24%、「請求等に一定数以上の住民の署名を要することとする」が22%、「正規の手続きを経て行った職務行為については地方公共団体がその負担により訴訟参加できるようにする」が21%となっている。

以上、大変限られた方法によるアンケート調査であり、確定的な意見とはいえないが、この結果を見るだけでも地方自治の現場にいろいろな意見があることをうかがうことができる。地方分権時代に地方公共団体が地域の状況に応じながらより一層適切にその責任を果たして行くためには、このアンケート調査にも示されているような自治の現場からの意見に耳を傾けつつ、社会経済の変化にも即応する地方自治制度の見直しについて検討が行われる必要があろう。

 

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北海道美瑛町 コスモスと十勝岳

 

 

 

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