地方分権時代への自治制度の見直し
秋本敏文(全国市長会事務総長)
地方分権推進委員会の勧告に沿って政府は地方分権推進計画を定めた。これに基づいて地方自治法など関係法令の改正が行われ、地方分権がいよいよ本格化することが期待されている。
地方分権が進めば進む程、地方公共団体の責任は一層重くなる。地方公共団体は、分権に見合う財源の保障のもとに、住民の信頼に支えられつつ、適切かつ効率的な自治運営をしていかなければならない。そのためには、地方公共団体が時代の変化や地域の状況に応じ、自己責任の原則に立った適切な運営をしていくことが出来るよう、地方自治に関する諸制度は、地方公共団体の自主的な判断ができる限り生かされるものでなければならない。
全国市長会では、本年創立百周年を迎えることを記念して、これからの都市政策のあり方についての考え方を「新時代の都市政策」としてまとめたが、その準備作業のひとつとして、全国の市長を対象に、地方自治制度の見直しに関するアンケート調査を行い、地方自治運営の現場経験を踏まえたご意見をお尋ねした。地方分権時代に地方自治が十分にその機能を発揮していくためには、このような地方自治の現場からの意見をできる限り取り入れながら、社会経済の変化に即応した自治制度の見直し検討を進めていく必要があろう。
さて、そのアンケート調査であるが、約6割の市長さんからの回答を頂いており、その結果としては、まず、地方自治の基本的な構造に関する事項については、都道府県及び市町村という二層制について40%の市長が「二層制を基本とするが、市町村合併を進める」、24%が「現行のままでよい」との回答になっている。(以下複数回答方式)。また、いわゆる大統領制の組織については、77%の市長が「首長一議会制については現行制度でよい」としている。コミュニティの自治組織については、36%の市長が「市町村の区域内に住民による自治組織を設けることが出来るよう、根拠となる法制度を整備する」、25%の市長が「自治組織は法人格をもてることとし、コミュニティ施設の管理等定の事業を行えることとする」と回答している。一方、「特別の制度を設ける必要はない」との回答も32%となっている。