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21世紀へ向けたコミュニティ活動の推進

―『コミュニティネットワークで結ぶ心と福祉の村』を目指して―

吉中重勝(佐賀県七山村総務課)

 

七山村の紹介

七山村は佐賀県の西北部、脊振・天山山系の尾根につながる山嶺群に囲まれ、村の中央を清流「玉島川」が流れる自然豊かな農山村であります。北は福岡県二丈町や前原市と境を接し、九州の経済都市福岡の中心部まで車で1時間30分、県内の佐賀市まで1時間、唐津市まで30分の距離にあります。

村名は、当地に祭神鳴神が鎮座されたため「鳴神山」と呼ばれ、その後語韻が転言化して「ななやま」となったという説と、滝川村ほか7箇村と称していたため「七山」と呼ばれるようになったという説があります。明治22年の町村制施行をもって「七山村」となり、以来区域を変えることなく、現在に到っています。村の面積は62.89km2で、このうち約74%が山林・原野で占め、そのほとんどは、杉の人工林で構成され、木材の生産及び水源かん養林としての機能を保持しています。また、周囲を山に囲まれた内陸部にあるため、気温の較差が大きい内陸型の温度変化も一部に見受けられますが、玄界灘沿岸に近いため、比較的温暖な気候です。

人口は2,869人、世帯数623戸、16集落であり、村民の多くは柑橘・米・野菜・茶・花きなどを中心とした複合経営を主体とする農業を営んでいますが、近年はハウスみかんや村の特性及び環境を活かした野菜や花き栽培などの施設化が進み、量から質への転換により生産性の高い農業経営の確立を目指しています。

観光面では、日本の滝百選に選ばれた「観音の滝」や佐賀県の自然環境保全地域に指定されている九州の尾瀬とも称される「樫原湿原」など、恵まれた自然がそのまま観光地となっています。観音の滝周辺では自然を体感できるイベントとして20年以上前から「ニジマス釣り大会」や地域おこしグループ「大雨風」が主催する「国際渓流滝登りinななやま」が開催され、さらに農業を実際に体験し、理解を深めてもらう観光農園「おいでな菜園」やログハウスのキャンプ場「ロフティ七山」などを整備し、都市住民との交流を推進しています。

しかし、経済的環境は、農林業の低迷に伴い、本村の産業経済も厳しい現状にあり、村内の若者層を中心として農業経営の継承に見切りをつけ、近隣市町村や福岡市などに就業の場を求める傾向が年々高まっています。人口についても、1955年の5,213人をピークに、年々減少の一途をたどり、現在は3,000人を下回っている状況にあります。

 

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七山村全景

 

我が村のコミュニティ活動の推進

我が村の地域コミュニティは、コミュニティを構成する家庭の構造が、大半において「三世代家族構成」であることに特徴があります。親・子・孫がそれぞれの役割を担い、家庭を形作るという本来の姿が、今でも保たれ、他の地域に比べれば、昔ながらの山村の豊かなコミュニティを支えているといえます。しかし、わが村も例外ではなく、家庭も地域社会も確実に変貌してきました。村の基幹産業である農業は、大転換期を迎え、少量多品目・良品質生産のため、施設化による局度技術・集約農業に移行する農家も多く、農家間の所得格差が生じ始めています。

 

 

 

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