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環境首都・山梨づくりは、山梨が21世紀に向けて世界にも誇る施策となるものであると考えております。

ここで、環境首都・山梨づくりに向けた県の取り組みをいくつか紹介したいと思います。

環境首都づくりの中核拠点施設として、富士北麓に環境科学研究所を建設しました。この施設は、「自然と人との共生」をテーマに、富士山周辺の自然特性の解明、環境の変化と健康との関係、自然を活用した快適なまちづくりなど中長期的視点に立った研究を行うとともに、「環境についての教育」「情報提供」「交流の場」などの機能を持たせた全国でも類のない施設です。館内には環境関連の映像をゲーム感覚で楽しみながら学習できる展示室があり、また、周辺には、豊かな森林をそのまま生かし、野鳥や植物群落が観察できる生態観察園や車椅子での通行もできる自然観察路を設け、車椅子の方、お年寄り、お子さんでも安心して自然とふれあえる場となっています。一人でも多くの人が環境科学研究所を訪れ、環境問題への関心を高め、積極的に環境を保全していこうという気持ちになっていただきたいと思っております。そして、この研究所と、隣接する国の生物多様性センターとを中核として、富士北麓を世界にも貢献できる環境研究のメッカとしていきたいと考えております。

また、森林の公益的機能についても、私たちは再認識する必要があると考えております。新たな世紀の幕開けとなる西暦2001年には、全国植樹祭を開催いたします。全国植樹祭は国土緑化推進運動の中心的な行事であり、1950年に記念すべき第1回目の植樹祭を本県で開催しております。みどりの日からメーンの式典を行うまでの間を植樹祭開催期間に設定し、期間中は、県内に2つのオープン会場を設けるなど、だれもが植樹祭に参加できるようにいたします。この植樹祭を契機に、森づくりボランティア活動を主体とした21万本の植樹運動を進め、植樹祭後は2011年の恩賜林御下賜百周年に向けた百万本植栽運動に発展させたいと思います。新世紀のみどりとのつきあいの基本を「人と自然の共生」に求め、新世紀にふさわしい全国植樹祭としていきたいと考えております。

以上、環境首都を目指した本県の取り組みの一部を紹介しました。環境問題は、一つの自治体で解決できる問題ではありませんが、その小さな存在が美しい自然を大切にし、自然を守り、自然との調和を図りながら快適な生活環境を育んでいます。地方分権の時代を迎え、私は、それを「環境首都・山梨」の取り組みとして発信していこうと考えています。

 

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緑に囲まれた山梨県立環境科学研究所

 

 

 

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