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自治だより 平成10年7月号

(奇数月発行)

(通巻NO.126)

 

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「環境首都・山梨」の実現を目指して

天野健(山梨県知事)

 

地方分権が、いよいよ実行段階を迎え、県の果たす役割はますます大きくなってきていると実感しております。そこで、私は、地方分権のメリットを最大限生かし、これまで以上に、地域の実状に即した個性的な施策を積極的に行っていこうと考えております。

山梨県は、周囲を富士山や南アルプス、八ヶ岳、秩父山系などの雄大な山々に囲まれた内陸県です。県土の78%を森林が占め、県土の約30%は、自然公園や自然環境保全地区に指定されており、県内には富士箱根伊豆、秩父多摩、南アルプス国立公園等の自然公園があるなど、首都圏の中にあって、みどり豊かな自然環境に恵まれた県です。

21世紀を目前にした今、私たちが行うべきことは、恵まれた自然を生かし、人と自然の調和のとれた社会を築くことだと考えております。私は、「幸住県やまなし」を提唱し、県民が「山梨に生まれてよかった」「山梨に住んでよかった」と幸せをしみじみと実感できる郷土づくりを目指しております。「幸住県やまなし」とは、県民誰もが住み良い環境の中で、健やかに、国内外の人々との活発な交流を繰り広げながら、自己実現を図り、幸せを実感できる社会であります。この基本理念の実現のために、目指すべき県土像として「環境首都」を掲げました。「環境首都」とは、福祉・医療、文化、教育、産業、社会基盤などのあらゆる分野においてバランスのとれた持続可能な発展をしている社会です。しかも、そのために県民1人ひとりがともに環境に対して、高い見識をもち、地球的視野に立った環境に望ましい取り組みを全県的に展開して、世界に誇りうる環境水準が達成されている社会であり、さらには県民1人ひとりがあらゆる社会活動において環境に配慮し、自分たちの要求や願望を満たすことのみを考えるのではなく、いつでも子孫のことを考慮して社会活動する社会です。

 

 

 

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