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山村に未来を見る情報ユートピアへの模索

―高度情報化時代の村おこし―

山崎 吉一(富山県山田村村長)

 

山田村は、富山県の西南部に位置し県都富山市から22km、車で40分のところに位置し、東西12km、南北16km、総面積40.92km2で、村の中心部には、北陸最古のいで湯を擁し、村の最高峰牛岳(1,000m)の北斜面には、北陸でも有数の村営スキー場があり「スキーといで湯の里」をキャッチフレーズに観光事業による活性化を図る人口2,200人の緑豊かな山村です。

戦後の高度成長期に、都市部への急激な人口の流失が始まり、4集落が廃村となり、昭和45年に過疎地域に指定された後は、集落再編成、農業構造改善、スキー場及び温泉開発等様々な過疎対策を実施してまいりました。

特にスキー場と温泉事業は、過疎対策の目玉となり、スキーと温泉で村を訪れる人々が年間約40万人、村の雇用等活性化に大きく貢献しています。

そんな中で若者の定住を図り活力あるむらづくりを進めるために更なる対策として実施したのが、高度情報化に向けてのインターネット等を活用した新しい試みです。

平成7年、全国の自治体にさきがけてインターネットホームページを開設“小さな山村から世界へ向けての情報発信”は、大きな反響を呼びました。そしてインターネット等による情報化への関心の高まりと共に同年9月に検討を進めていた国土庁の「地域情報交流拠点施設整備モデル事業」の採択を平成8年1月に受け、村全体の情報化に発展させました。

本事業により、村の中心に情報センターを建設し、村民誰でもこれからの情報化時代に対応できると共に、地域と都市との情報格差の是正を図ることを主としたわけですが、最大の特徴は希望する全世帯の7割(320戸)にテレビ電話機能付きパソコンを無償貸与したことです。これは最新機器を備えた地域情報センターを開設しても住民が日々使わなければ意味がないという判断結果から実施したものです。

 

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牛岳スキー場

 

このことが、情報化時代に向けての新しい地域活性化施策の取組みとして高く評価され、従来までの一部地域や産業等への部分的な事業でなく、住民の70%以上を直接巻き込んでの事業となったので、村内外の関心も高く新聞、テレビ等に「電脳の村」として報道されるようになり、パソコンの貸与がはじまった平成8年7月からは、全国各地から毎日のように視察や研修の人々が来村されました。その数は、現在まで470団体、延2,190人となり、その反響のすごさに驚いている状態です。

 

 

 

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