日本財団 図書館


インターネット等の最新技術は都市部では自然に浸透するが、山村では誰かが動かなければ何も変化しないとの考えから、村がきっかけ作り及びレール作りをし、村の外部と住民、行政と住民、住民と住民のコミュニケーションの場を住民に提供したわけですが、外部との交流が盛んになることで、これまで地域の内部へと偏りがちであった住民の視線を外部へ向けることが出来るようになり、また、行政と住民の交流が盛んになることで、村役場で管理している情報を多くの住民に迅速に伝えたり、住民が必要としているサービスの把握や提供が容易にできることと、行政サービスの高度化を図ることが可能になりました。さらに、住民同士のコミュニケーションルーツを提供することで、農業や生活等に関する情報交換や高齢者の交流が離れた集落からも可能となると同時に、住民自身が村の在り方や将来について意見を出し合うこともできるようになりました。

村では、こうした変化が刺激となり、住民の生活が積極的になったり村や自分に対して誇りを持つきっかけになれば、住民の意識改革による村の活性化や魅力的な村づくりが実現できると考えており、更に住民の得られる情報を増やし、住民が多くの選択肢を持てるようにする環境づくりをこの情報化に託しています。

本事業は初期段階でありますが、これまでの取り組みの中で村にいくつかの変化が生じてきています。

第一に、Uターン、Iターンの希望を含む、外部からのコンタクトが増加し、電子メールによるホームページヘの反応、マスコミや研究者等の取材を始めとし、ホームページを見て実際に観光に訪れる人やボランティアなど、ネットワーク上に止まらず交流が広がっており、また、村の中においても、これまで交流の少なかった祖父母と孫世代の会話が増加しています。

第ニに、これまで「受け身がちであった住民」が、村がマスコミに取り上げられることによって外部の人との交流に慣れ、積極的に意見を発言する場面が見られるようになってきました。これまでは生業である農業や観光関連のサービス業が中心であったが、より外部に目が向くようにもなっています。

第三に、本事業を進めていくうちに住民と役場の距離が短くなっているように感じられ、同時に住民、特に若者の村に対する思いが変化しつつあり、村に誇りを持つようになってきました。これまで、「早く村を出たいと思う若者が多かった」が、本事業により地域の「心おこし」が少しずつ進んできたような気がします。山田村の情報化事業はまだ始まったばかりであるが、「いつでも、どこでも、誰でもが思いついたものを実現できる村」を目指し、ゆっくりであっても着実に、住民全員が参加する形で取り組んでいきたいと考えています。

 

010-1.jpg

情報化への始まり ―住民へのパソコン講習―

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION