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もう一つは先程財政の問題で、うちで集めた税金はうちで使わせろという富裕県からの声があるというふうにもお話しがございました。税源のほうをどう変えていくのか、これもいろんな問題を持っておりますけれども、なかなか難しい問題だと思います。ただこれは私が個人的にそう思っているだけかも知れませんけれども、言えますのは、今の地方財政の制度、地方交付税の制度というのは非常に調整の仕組みがよく出来ている、出来すぎているわけです。それぞれの自治体が歳入面においてどういう努力をするか、努力をしようと思っても出来ないし、しなくても別に変わりがない。ちょっとこれは言い過ぎかもしれませんけれど、そういう仕組みになっている。それに対しまして行政というのは、特に地方自治という場合にはそこに住んでいらっしゃる方が主役ですから、その人達がサービスを受ける場合には当然その人達の負担というものと結び付いていなければならない。

かつて私もちょっとアメリカに暮らした事がありますけれども、そこでの経験ですとアメリカのある町は道路は穴ぼこだらけで町はゴミだらけ。しかし聞いてみると、皆んな非常に良い町だと。なぜか、税金が非常に安いから。他方は非常にきれいに町も整備されておりますしゴミもない。しかし、そこはどうかというと、とにかく税金が高いからあまり良い町だとは思わない。もちろんこれはお金を持ってらっしゃる方とそうでない方では御意見が違うかもしれませんけれども。そこにアメリカの場合には、選択の余地があるわけです。日本の場合の財政制度の場合にはそういう余地がなさ過ぎるのではないか。もう少し住民の負担とサービスを結び付ける。そうしますと自分達のサービスを増やそうとしますと負担が増えます。逆に言いますと、サービスの質を落とさないでどうやって負担を減らしていくか。そこから行政改革なり地方自治への参加なり、というものの意識が生まれてくるのではないかというふうに思うわけです。出来るだけそういう制度に近づけるというのが、これからの改革の向かうべき方向ではないかと思います。

ただ、いずれにいたしましても地方分権、これまで進めてきましたのは冒頭にも申し上げましたように、国と地方の関係であります。これからまだまだ課題は残っております。今日もいくつか御意見が出ました。少しまとめると、都道府県の役割はどうすべきなのか、補完的なものであるべきなのかどうなのか。また広域行政はその問題とも絡みますけれども、どのようにして対応していったらよいのか。これはなかなか難しい問題ではあると思います。合併と言いますのは、今その効率化を進めるために必要であるという方向で議論が進んでおりますけれども、確かに限られた資源を出来るだけ有効に使ってサービスを維持していくというためには、一つの重要な選択肢ではないかなというふうに思っております。

 

 

 

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