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いずれにいたしましても今は地方自治体、全国でこの分権の動きあるいは行政改革の動きに対して大変な期待と不安と両方をお持ちのところではないかなと思います。ただ私自身思、いますのは、不安・期待、両方とも当てはまることですけれども、今までの仕組みというのは非常にうまくいっていた。しかし、これからはそういう状態というのが、そのまま続いていくかというと、これは国の財政状態もありますけれども大変難しくなってくるのではないかと思います。財政状態がある程度現状維持出来たとしましても、地方がこれからしていかなければならないサービスというのは、高齢化社会の到来とともに益々増えていきます。そういう事態にどう対応していくかという時に、やはり行政改革と言いましょうか、行政改革と言いますと人を減らすとかそういうイメージがつきまとっておりますけれど、いずれにしましても行政のあり方を考えていく。特にいろんなサビスを行政だけが担っていくというのは到底無理になりますから、そこでボランティアであるとかNPOであるとか、そうしたパートナーの役割というものを考えていかなければいけない。そういう時代になってくるのではないかと思います。

その意味では、地方自治体は期待と不安の中にいらっしゃるかと思いますけれども、出来るだけ前向きに積極的にそうした課題に取り組んでいく。そうしていかれる所がある意味で言いますと段々うまくいく。これは努力した所が報われるという意、味では仕方がないのかもしれませんけれども、自治体の間にそういった意味での努力の結果というものが段々格差として現れてくるのではないかと思います。このこと自体は、ある意、味で言いますと地域に応じた形で行政が行われる、まさに地方自治の理念に叶っているところがあるのではないかと思います。それをやるためには、やはり地域がまず実績を示すと言いましょうか、その努力を進めていくということがこれから特に重要ではないかと思います。

その場合、今日御意見も出ましたけれども、いかにしてその能力を高めるために人づくりをやっていくか、これは大変大きな課題です。もう一つは、地方分権が進みまして、これから多くの事柄について条例を制定して地域の基準というものを決めるということになります。ここにおいては、地方議会というものの役割がこれまでとは違って大変重いものになる。そのことは、強調しておいても良いのではないかと思います。ただそうは言いましても、これからの地方のあり方というのは、やはり国の制度が基盤になっております。これをどう変えていくかというのがこれからの国レベルにおける地方分権改革の課題ではないかと思います。

 

 

 

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