私が小さい時のことを考えてみますと、私達の小さい頃というのは隣町に行くのは歩くか自転車しかなかった訳で、隣町に行くのも相当大変なことでありました。年に何回かしか行かなかったというような思い出があるわけです。ところが今はもう自動車が随分普及して、一軒に1台だけじゃなくて2台も3台も持っておられるというような、そういう時代になっております。その結果、隣の町に行くのにも車で行けば5分あるいは10分という距離になってきたわけでありますが、それにもかかわらず市町村の数は殆ど昭和30年代の初めと変わっていないということであります。
今は行政改革ということが大変国で議論されているわけでありますが、私は地方の側でも地方分権の受け皿ということを考えてみましても、あるいは国・地方を通じての行政改革の在り方ということを考えてみましても、やはり地方の側でも協力するべきところはしなければいけないし、血を流さなければいけないということもあるのではなかろうかというふうに思います。
市町村合併、あるいは広域行政を進めるというようなことは、必ずしも町村が望んでいないことだとは思います。私も町村長さんとお話しをすると、反対をされる方もたくさんおられるということは十分承知しております。ただ、一つの大きな流れとして見た場合にやはりこれは徳島県だけではなく、全国的に市町村合併というのは否応なく避けて通れない道であろうというふうに私は思っております。
そういうことになった時に、もう他の県ではどんどん市町村合併が進んでいて、徳島県では一つも進んでいないということでは困るわけですから、そういう時にどうすれば良いのかということについて、やはり今から十分準備も進めていき、心構えというものもきっちり出来ていなければいけないと思っております。そういう意味合いから県ではこれはもう相当な非難を覚悟で徳島県の将来の町村合併をした時の一つのパターン、こういうような合併の仕方というのがあるんじゃありませんかというようなパターンをいくつか提示をして、そして反対なら反対という住民の声とかあるいは市町村の声というものを、あえて非難を覚悟で受けようというふうに県は考えております。そういう格好で県がある程度リードをしていかないと、この問題は、町村の皆さん方も自らの問題として受け取らない、あるいは県民の皆さんも自らの問題として受け取らないという傾向があるのではないかと思います。これは徳島県だけではありません、全国的にどこもそうだと思います。そういうことで好むと好まざるとにかかわらず、そういう方向に日本全体がなるだろうと、そういうことに対する備えということをきっちりしていかなければいけないんだということを申し上げたいと思います。