木村
それでは手短に話をします。まず地方分権を本当に進めようと思えば、支出の面だけではなくて収入の面も自立ということが非常に重要になってきます。それで中長期的な問題としては、地方の単位というのが再編成されるであろうと私は個人的には見ております。それは、昔の文化とかそういうことの繋がりよりは、むしろ財政的に自立できる程度の大きさが基本になるというような気がいたしております。その時にも財政調整は残るでしょうけれども、今のような200人の市町村に何十億もお金がくるというような形の残り方はしないであろうと思います。それは何故かというと、一つは自己責任というものが世の中の風潮として人々から受け入れられるような時代になるからというふうに考えております。脇町長さんもおっしゃった公共事業のほうを見ましても、所得再分配的な、今は不況ですから公共事業をまたやり始めましたけれども、長期的に見ますと田舎の仕事をなくならせないための公共事業というのは、縮小していくだろうというふうに思っております。仮に道路とかを付けたいという場合にも、地方に応分の負担をしてもらうんだというような形になっていくのではないかと思います。
しかし、短期的に今の枠組みの中で財政というものを考えますと、これは私達が2年ぐらいかけて調査・研究をした経験があるのですが、例えば福祉について考えますと、皆様方は今私が言う話を聞いてどんなふうに捉えられますか?私がある所のお役人さんと話をしておりました。その方は福祉の分野で仕事をしておられます。その方に「福祉の分野って今は有給休暇も取れないぐらいにお忙しいと聞いていますが、人は増えましたか?」と聞いたんです。そしたらその方は「一人増えました。今は定員法で人が増えない段階で削られもしなくて一人増えたということは大きいことなんです。」とおっしゃったんですね。皆さん方はそのお話にフンフンなるほどそうだなあというふうに思われますか?もし思われる方がいらしたら私はかなりマゾっ気があるんじゃないのかなあというふうに思うんですね。何故かと言うと自虐的といいますか他所から見たらものすごくおかしな事なんですよ。行政としては、市町村の仕事として一つの分野が増えようとしている。増えようとしている時に、リストラも行われないでたった一人だけ増えてそれで御の字なんていう感覚は外の世界、もし企業に勤めている人なんかから見るとあまりに見方がマイナー過ぎるなというような気がします。