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このセッションは、住民参加ということですが、住民参加という言葉自体も行政のひょっとしたら思いあがりの言葉かなというふうに思うんですね。何故かと言うと、今まで民間非営利団体の人達で活発に町づくりとかをしてこられた方々を見てみますと、行政はほとんどタッチしなかったケースというのが多いですよね。あの方達にとれば、行政をどの段階で参加させるかという、まさに行政参加の町づくりをどうするかというふうな視点で見ておられるかもしれない。だから私達は、住民参加と言う時には、えてして対等な関係で住民を見ていないんじゃないかという危なさも感じます。

じゃあ、その住民参加ということに絞りまして何点かお話をしたい訳ですが、今までの住民参加というのは計画の段階で政策をつくる段階で、アンケートとかヒアリングとか諮問委員とかですね、あるいは議員さんに住民がどうやってなっていくかということが重要でしたけれども、今後はそれに加えて、まさに介護の分野ですと供給主体として住民がどうやって参加していくかということがあります。例えば、民間の非営利団体で介護保険の対象となるようなサービスを自分達でやっていきたいんだ、それでそういうふうな活動をしたいんだというような方が住民の中で徳島でもそうだと思いますが、いくつも出てきていると思います。そういう方達をこれから地域は育てていかなければならないわけです。そういう方達が今困っているのは、自分たちの志で集ったのは良いんだけれど、それを合理的な組織体としてどうやって育成していくかという時期に今入ってきたわけです。そういうNPOを育てていくトレーニングといいますか、そういうような活動をしているNPOも出てきたわけで、自治体はそういったNPOにどういったように補助金を出していくかとか、そういう仕事というのがこれから重要になると思います。

自治体の人は、ややもすると優秀なNPOというのを嫌います。それは、うるさいことを言うし大変だと思うのですが、どれだけ優秀なNPOに自分の町で活動してもらうかというのが、これからひとつのポイントだというふうに思います。NPOでなくても、先程の話ではないですけれども、もう行政が介護の主体にならなくて良いんだ、いろんな団体にやってもらって、あと行政が本当に良いサービスが守られているかという質の確保に努めるんだというふうに行政の転換が起こってくるわけですから、その時に行政の方は、今までのような仕事の仕方ではなくて現場をよく見ていくということが非常に重要になってくると思う訳です。現場をよく見てきちんとサービスを評価できる目を持っているか、その点で行政は変わらなければならないというふうに思います。

 

 

 

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