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佐藤

今お話しがございましたが、住民参加行政というものをどう捉えていくかというのは、非常に難しい問題でございます。童門先生の講演の中でも、住民参加行政というのは、まず自ら助ける自助、そしてどうしても自分で出来ない場合には、地域の人達が助ける互助、それから公が助ける公助といった仕組みが住民参加行政であるというふうにお話しもされました。同じようなことを兵庫県の貝原知事さんも自助、それと共に助けるという字を書かれていますが共助、そして公助、こういうふうに言われております。私もこれが住民参加行政のひとつの基本だろうと思っております。こういった意識を町民の方々に如何にして持っていただくかというのは、非常に難しい問題でございます。そうなりますと、やはり地域のコミュニティーというのが基本になってまいります。特に、共に助けるということになりますと、地域のコミュニティー活動が崩壊しますと、共に助けるということが出来なくなります。そうすると、個人がどうにもならないというと、すぐに行政にポンと跳ね返ってくるということでございまして、先程米田さんから町村合併の前にコミュニティーの再編成をやらないといけないというふうなお話しもございました。私も全く同感でございます。

その方法の一つといたしまして、私達の町では、平成8年度から町民を募集いたしまして、町づくり100人委員会という100人の委員さんからなる組織を発足させたわけでございます。この組織は、町づくりリーダーを育成することを目的とするものでございまして、この人達を中心に、町民をリードしていくには、共通の目標づくりが必要ではないだろうかというふうに考えていたわけでございます。脇町の長期計画は、平成7年度に役場職員とコンサルの手によって作業が進められまして、ちょうど私が就任いたしました平成7年11月には、だいたい原案が出来上がっておりました。この策定作業を私は1年延長させまして、そして町づくり100人委員会というのを組織して、10年に1回しか作れない総合計画だから是非この機会に町民の意見を聞いてみようじゃないかというので、100人委員会にいろいろ議論をしていただいたわけでございます。先程もこうしたお話しがございましたけれども、共通の目標を住民と行政が一体になって作り上げていくというのが、私はこれが住民参加行政の第一歩ではなかろうかというふうに考えております。

会議は毎月1回、5つの部会に分けまして、夜7時から10時頃まで缶ジュース1本で、いろいろ熱心に討論をしていただきました。この会議には、私ももちろん毎回出席しますと同時に、管理職の職員さらには担当職員、これも同席させまして、そして一緒に議論を重ねさせるということをやったわけでございますが、こういった結果、委員会の会員の中から自分たちがやっぱりリーダーになって町おこしをやらなければ、という気運がだんだん起こってまいりました。

 

 

 

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