ところで、こうした改革といいますのは、先程もちょっと出ておりますけれども、なかなか特に市町村のレベルにおけます分権の意義というのが理解されていないのではないか。或いはマスメディアの言い方をしますと、官官分権。その国の行政省庁の間の分権の話じゃないか。そういう批判がされているわけでございますが、1次勧告から4次勧告まで分権推進委員会が狙っておりました所、考えておりました所はどういう事かといいますと、これまでのいわば地方の行政の在り方を事細かく決めていた、縛っていた国の制度というものをまず改める。これまでは、地方は自分達の考えに従って町づくりをしようとしても、なかなかそれが出来ない仕組みになっていた。それを出来るようにしょうというのが、まず第1の改革の狙いであります。4次勧告までが実現できますと、これがかなり達成できるのではないだろうかと思っております。只、本当の意味での地方自治・地方分権を進める為には、それだけでは問題は解決しません。何が残されているかといいますと、それぞれの地方が、自ら町づくりが出来るようになった地方が、どうやってそれを実現していくか、その体勢づくり、その能力を向上させる事、これが課題になります。
この話は先程から出ておりますように、正に地方の問題として、それが捉えられなければならない。今日のパネルディスカッションのポイントというのは、そこにあるのではないかなと思っております。更に申し上げますと、そうした国から地方への分権は行われる事になる訳ですけれども、その後、都道府県と市町村の仕組みはどうするのか。或いはこれから介護保険制度が導入される事になりますけれども、そうしたこれからの時代において、果たして先程申し上げました地方が自分達で自分達のまちづくりをやっていく。その能力を持つに充分な規模があるのかどうか。この市町村合併の話も先程出てきておりますけれども、そうした地方の在り方、都道府県と市町村の在り方、これも残された課題であります。こういう問題にこれからどんどん取り組んでいく。只、これは国があんまり余計な事を言う話ではなくて、地方が自ら考えてお進めになるというのが、これから正に地方自治ないし地方分権の理念に沿った進め方ではないかなというふうに思っております。
長くなりましたが、今日はそうした前提に立ちまして、これから3つのパートに分けてパネルディスカッションを進めていく予定でおります。初めは、今までの地方分権につきまして、総論的にご意見を伺い、2番目は、今私が言ったところでいいますと、それぞれの地方自治体がこれから町づくりをする為に、どのような課題があるのか。特にそこでは、地方自治の理念に沿いますと、住民参加。正にその地域の主役である住民の方にどのように行政に関わって頂き、町づくりをしていただくか。その問題があろうかと思います。