これは改革を進める場合には、最も危険であります。やはり自分の意を受けて一生懸命やってくれる者、息のかかった者だけに周りを取り囲ませて、これを推進していくと絶対にこれは失敗をしていく。鷹山だって初めは失敗しちゃったのは、そういう事です。徳川吉宗という人は、そういう事はやらなかった。そういうものを時間と根気をかけてやっていくという事がやっぱり大事だろうという事であります。
そこで、もう一つお願いをしておきたい事は、これらの要件を満たすという事はどういうことなんだろうか、という事でございます。先程、知事さんのお話の中に住民が主体になっていくという事、物事を決めていくそういう時に住民が主体になっていくというお話がありました。これは大事であります。結局のところ、住民が主体になっていくというのはどういう事なのかと言えば、私はお一人お一人が情報を集める力を持つという事と、そしてそれを今度は分析・判断する力を持つという事と、そうすれば必ずその情報の中に問題点が潜んでおりますから、この問題点について自分で考える力を持つ事、考察する力を持つという事、そして自分なりの選択肢・意見の結論を出していく、いうならば意見形成力というものをぜひお持ち頂きたいという事であります。
この事は、こういう屁理屈を付けて大変恐縮ですけども、アメリカの国名が合衆国といっております。本来はユナイテッドステイツです。ステイツというのは何であるかと言えば、州を指す訳です、地域を指す訳です。いわゆるテキサス州とか、アーカンソー州とか、或いはネバタ州とかいう広域自治体をいうわけです。ところがこの日本語に訳した人の妙というのは、これを衆という字を使いました。人なんです。この衆というのは何であるか、公衆であります。公衆、パブリックという意味であります。これはいうところの大衆とは違う。どう違うか。こちらの場合には、価値観が少なくて、そして自分の考えというのがそれ程なく、すぐ付和雷同してしまう。そうだ、そうだということ、これをやるという事。こっちはそうではない。価値観が非常に多くて、人の言うこともよく聞きながら、そして議論をしながらその問題を煮詰めていって、究極的には合意に達していく。これをパブリックと呼んでおります。あちらはモブであります。だから私はアメリカの合衆国の衆というのは公衆を指しているんだろう、パブリックをいっているんだろうと思います。
先程も申し上げた地方分権の推進においては、住民の皆様の意識変革も大事ですよ、ということを申し上げたのは、公衆になって頂きたいたい。つまり付和雷同して、そうだ、そうだということだけではなくて、自分の問題としてしっかり考えて頂く。