最後、市民はどう言ったかといえば、「もういい。わかった。どっちもいいことがわかったから、最後は議会と市長で決めてくれ」ということで、恐らく市長も辞職しなければいけないような大変なもめ事になる問題が、最終的に満場致で決まったのです。そのようにうまくいったわけです。5つのうちから1つを選ぶのは大変なことですが、そこまで任せれば最後は市民が決めてくれる。そういう決定参加が第3段階です。これはなかなか訓練が必要だと思います。
第4段階は、先ほど言いました、決めたことをみんなで実現することです。例えばゴミをゼロにしよう。そのためにこういう方法がある。スーパーに買い物に行くときは必ず袋を持っていく。缶ビールは公害ですが、瓶ビールはデポジットできますから、お父さんは缶ビールをやめて瓶ビールにする。包装容器の引き取りをしないものは買わないというようにみんながやったらやれるわけですから、みんなで決めたことをみんなが実行することが市民参加の最後の段階ではないかと思います。
我々のところは今まで移動市長室をやった。皆さん、こういう仕事をやってください。道路をよくする会に入ってください。観光協会の役員になってください。そういうことも市役所と市民とのパイプの詰まりをなくして信頼関係を取りつけるということではもちろん大事なことですが、それにとどまらないで、最終的に市民が決定する。市民が決めたことは必ず実現するために自分で努力する。市民参加、住民参加にはそういう4つの段階があります。そういう能力のある住民がいるところ、そういうことをやっていける職員がいるところ、そういう能力のある自治体は、すぐれた分権ができると思います。
そのうち県庁から説明会があるだろう、そのうち自治省から何か紙が来るだろうということで人の後をついていくような自治体と、先進的に頑張っている自治体の間には、明らかな差が生まれます。これからの自治体間、都市間競争は、単なる人口を増やすとか、生産力を上げるということではなくて、いかに自治をみんなで一緒にやるかです。分権はすなわち自治であって、自治にすぐれた自治体と、後からついていく遅れた自治体の間のすごい競争が行われます。今日は議員の話はしませんでしたが、議員が一番大事ですから、議員の皆さんが市民を組織して、町の人たちがなかなか進めないところを叱咤激励して、職員と市民と市長と議員が4つの輪を組んで、すぐれた先進的な分権自治体になりますように、心から皆さんにお願いしておきます。
河本 ありがとうございました。
そういたしますと、このあたりで全体のまとめということにさせていただきます。皆さんには本当にすばらしいご意見をそれぞれの専門の分野でお話をいただきました。
高橋さんからは、分権あるいは地域の活性化となると、かぎは中央集権を打破した上での地方分権の実現だといったようなお話がありましたし、道上先生からは、リサイクルプラザの運営協議会のメンバーをしていらっしゃるわけですが、やはりゴミ問題となると、たくさんの女性の方にも集まっていただいて、その参加・協力を得た上でやるのが一番いいのではなかろうかといったようなお話もありました。
それから、斉藤先生には、地域のパワーを生かして、それを発揮できるようなまちづくりが必要ではないか、また、地方分権というのは、ヨーロッパあたりでは高齢社会を迎えて、これがだんだん発展してきたようですが、在宅福祉となると、これからは自治体が責任を持って、それに対応できるようなシステムなり整備が必要であるというお話も伺いました。
それから、私も心配をしていたわけですが、道上先生のお話にありましたように、国道なり直轄河川が地方へということになると、私どもの一番心配になるのは、財源が本当に伴ってくるのかという点です。人のほうは後からついてくればいいことであって、財源については今後も千田先生に専門委員という立場で十分頑張っていただきたいと思います。
福祉・環境ということになると斉藤先生からありましたように、これからは70歳の方が90歳の方の面倒を見なければいけないということになると、今まで以上に本当に大変だなという感が一層強まってきます。