そのシステムというのは、100市町村があれば、それぞれ異なってもいいと思います。同じものではなしに、それぞれ違う住民参加の仕方があり得る。そのときには、自己責任も伴う。そして、コンセプトはどういう町がいいか。私が考えてみると、先ほど千田先生がおっしゃったように、美人が闊歩するような町、ファッショナブルでロマンを感じられる、こういう町でなければいけません。2番目は、歩道がそれなりにきれいで、電柱も段差もなくて、高齢者の人が電動車いすなどで歩けるとか、あるいは普通の人でも滑らない、つまずかない、こんな町をもうつくっていけるのではないか。電柱も埋めなければいけない。本を読みながら、あるいはみんなと話をしながら歩けるような街並み、こういうものをつくっていく必要があります。
それから、最後に、やはり公園都市を目指すのであれば、食が大事です。おいしい食べ物を提供するようなレストランがたくさんある町、こういうのができないと、公園都市とかにぎわい云々と言っても人は集まらないのです。その点、悪口を申しますと、鳥取県の駅前から県庁までに、あまりいいレストランがないように思います。違うかもしれませんが。とにかくもう少しおいしい店がなければ、なかなか楽しいまちになってこないのではないでしょうか。
そういうことを考えながら、みんなが知恵を出し合う。そのシステムは、決まっているのではなく、やはりみんなが集まって決められなければなりません。そのときに、県や市の職員ももちろん参加して、夜間型のサロン方式でやっていく必要があるのではないかと考えています。
河本 ありがとうございました。
次に、寺谷町長さんにお願いします。智頭町では特徴のある取り組みが幾つかなされています。特に日本ゼロ分の一運動という村おこしが行われています。これについてご意見お願いしたいと思います。
寺谷 智頭町では今、日本ゼロ分の一運動というのをやっています。どういうことか、ちょっと説明しますと、智頭町にもいろいろな地域があります。そこに1年に50万円、2年間補助しましょうということです。これはお金で縛らないで、色をつけないで、自分の地域をみんなでいろいろ考えてください、勝手に考えてくださいということです。つまり、各地区がいろいろな個性を出してくる。それを十把からげると智頭町という個性になってくるというのが根本です。
そうすると、いろいろ考えるわけです。おらが地区は、桃の木を300本植えて桃の香りが漂うような香りの地区にしようとか、おらの地区は福神漬で勝負しようとか、ある地区は、浄瑠璃という昔の伝統芸を、若者がいなくなったから、子どもたちに教えて継承しようじゃないかとか、いろいろなアイデアが出るわけです。一番感心するのは、どこの地区にも長老がいらっしゃいますが、結局若者とあまり話をしません。しかし、そういうことをやると、長老も若者も、お母さんもお嫁さんも、みんなが集まってけんけんがくがく、おらの地区はどうしようという議論をするわけです。隣の村に負けてはならんというような競争心が自然に出てくる。そして、個性がどんどん出てきているように思います。実は私は、こういう地区をたくさんつくって、智頭町という1つの個性をつくりたいと思っています。
分権とは少しかけ離れると思いますが、地方分権といえば、我々首長は、何か合併問題が底辺にあるのではないかと危倶します。自分たちが吸収される吸収合併はだれも嫌です。しかし、よく考えてみると、個性のあるおらが村と個性のある隣の町が、新たな個性を組み合わせて1っのものにするのは吸収でも何でもないわけです。合併問題は恐らく近い将来出てくると思います。したがって、おらが町はどういう個性を持っているかを首長は今からしっかりと把握しておかないと、何かわけのわからないうちに吸収される。それではやはり寂しいので、吸収ではなくて、我々が参画する、乗り込んでいくというくらいの個性化がこれから大事ではないかと私は思います。