斉藤先生は京都ですが、京都もあまり水がうまくないと思いますし、東京や大阪は水が臭くて飲めないから、こういう水を買うのです。これにかける費用は月々何千円かわかりませんが、大都会ではかなりのお金を払っています。我々はそういうことをしなくてもおいしい水が飲めますが、このとき我々は、それに気づかないのです。蛇口をひねれば水が飲めるということで、そういうことにほとんど気がつかずに日々生活しているわけです。
我々は、千代川の上流域に智頭町とか用瀬町があり、そういったところで水をうまく管理をしていただいているということを認識する必要があります。おいしい水が勝手に来ているわけではないのです。そのためにどういうことをしたらいいか。具体的な例を1〜2申しますと、智頭町の町長さんがおられますが、例えば下水処理場をつくって浄化した水を川に出す。ただし、それでは窒素や燐などはまだ十分取れないのです。そこで僕らが時々言っているのは、次のような休耕田をうまく利用する方法です。休耕田にスイセンとかショウブを植えたりメダカ等を飼い、下水処理した水をそこを通して川に流してもらうと非常にきれいな水が出てきます。あるいは池のようなところを通して川に流すと非常にきれいになります。そういうことをして、せっかくきれいにした水をみんなに見えるようにすれば、その地域の人も目を楽しむことができる、下流の人もおいしい水が使えるわけです。
おいしい水というのは、いわゆる塩素、カルキの入っていない水です。そのためには水そのものがいい水でなければいけない。その水はやはり上流から来るわけですから、例えば下流の人が上流に行って森林を手入れするとか、そういうところでバーベキューをしながら上流の人と下流の人が意見を交換するとか、そういうことを常々やっていかなければ、おいしい水が飲めません。我々の生活が近代化されて派手になると、水はだんだん汚されてくるわけです。今の鳥取市民は非常においしい水を飲んでいるわけですが、それを汚さないようにするためには、上流・中流の人のいろいろな思いを常々考えながら、下流の人は生活しなければいけないわけです。ただ水道栓をひねっておいしい水が飲めるだけではなかなか実感がわかないので、上流・中流・下流の人が交流する場を設けたらどうかということで、千代川流域圏会議というのができたわけです。
寺谷町長さんにも入っていただいていますが、いろいろな方が入っています。その中で、今度8月22日の土曜日、河原町のほうで千代川フェスティバルをやります。それと同時に、8月24日を千代川の日と定めて、その近辺でいろいろな催し物や討論会をしたいと考えています。
そういうときに、例えば地方の良さを挙げますと、おいしい水が飲める、広い家に住める、これが都会にない良さです。その良さを我々は享受しながら、それが持続するようにしていくことがこれから重要になります。そのためには、いつもそういう問題意識を持つ。そのためには、みんなが集まっていろいろ議論をする必要があるのでないか。そこに参加と連携が生まれてくるのではないかということで、前述したように、8月22日に千代川フェスティバルが行われます。皆様方、時間のあいた方は、河原町のほうにやってきていただきたいと思います。子どもさんも一緒に、川のありがたさや水のおいしさを議論したらどうかと考えています。
河本 ありがとうございました。
続きまして、「まちづくり」をテーマに進めさせていただきます。これからのまちづくりということになると、当然のことながら住民主体ということになりますが、分権型の社会の実現に向けて、市町村と住民とのかかわり方を、できれば具体例を示していただきながらご意見を伺いたいと思います。
これからは地方主導のまちづくりということになるわけですが、最初に高橋さんから、そのメリットなどについて、あるいはお話にもありましたが、自己決定と自己責任が当然ついて回ることになります。そうしたことも含めてお願いしたいと思います。