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もう1つは、フライブルグのそばでしたが、地域環境定期券というのをくれます。ドイツでは買い物袋を持っていって買わなければいけないのです。一応ビニール袋もありますが、日本のつもりでスーパーに行って、そこでビニール袋を買ってそれに入れて歩くと、奥さん方が「日本人はだめね」と言わんばかりの冷たい目で見るのです。よく注意すると、みんな袋を持ってきて買ったものを入れています。

私は独り暮らしでしたから、スーパーへ行きますと果物や野菜は全部はかり売りです。バナナでも桃でも自分で手に取って電子秤に置いて、桃とかバナナのところを押すと何マルクと出るわけです。それをかごに入れてレジに持っていって、値段を払って自分の袋に入れます。ハムなどは全部対面で、汚い紙に入れて何マルクと書いてくれます。

もっとすごいのは、小さな町でもワイン祭りのイベントをやります。わずか7,000人くらいの町に行ったときも、ものすごいワイン祭りをやります。行くと、きれいなお城などを描いた小さなワイングラスで1杯飲みますが、「もらっていってもいいか」と言うと、「どうぞ、あなたのお金に入っています」と言う。次に飲むときにもまたよこしますから、もう持っていく必要がないので返しますと、デポジットでちゃんお金をくれるわけです。問題は、ワインを売っている店が100軒もありますが、戻したグラスをどうするのだろうと思って、ワインを飲みながらずっと目をこらして見ていると、真ん中の本部に持っていって丁寧に洗い、また各店に持っていってるわけです。

また、ドイツはソーセージがおいしいですから、ソーセージをくださいと言うと、カラシを塗って必ずパンに挟んでくれるのです。腹いっぱいだからパンは要らない、ソーセージだけくださいと言うと、不思議な顔をしてそのままくれるので、私は素手で受け取らなければいけないのです。要するに、そういうところでは皿やトレーは絶対使わないのです。したがって、祭りが終わった後を見るとゴミが全然ないのです。持ち帰るのではなくてゴミを出さない。そうしなければお祭り、イベントはしないと徹底しているのです。

「生徒のための環境ヒント」というパンフレットをもらって、訳してみましたら、買い物袋は絶対持たなければいけない。ぜいたくな包装品は買わない。リサイクルに協力する。おもしろいのは、クリーニングをあまりやらない。衣類を買うときには家で洗えるかどうかを見てから買いましょう。万年筆とか鉛筆がいい。サインペンや使い捨てのボールペンはやめましょう。大人はエンジンをふかすが、絶対にそれを許してはいけない。すべて大人は環境の敵だから、子どもたちはみんなで大人を監視しなければいけない、というようなことが書いてあるのです。

先ほども知事さんが話されましたが、市役所の人たちはどうしているかといえば、担当者がいて絶えず回っています。各家庭のゴミも徹底的な分別で、黄色い袋はプラスチックとか牛乳の容器、緑色の袋は紙とか資源ゴミと決めてあって、町の中に黄色と緑の大きな入れ物があります。それから、生ゴミはコンポストです。リターンできる瓶はスーパーでデポジットしますし、普通の瓶は白と黒と緑の入れ物があって、そこに入れるというように、7〜8種類に分けて、最後にどうしても処理できないものだけ黒いバケツに入れて、焼却はしないで集積場に行きます。しかも、フライブルグではメタンガスを発生させて、近所の7,000世帯に間に合うくらい発電しているというのですから、大変な話です。市民と市役所が一緒になって徹底的なことをしているから、ゴミが出ないのです。私はこういうことを勉強して、我々もやらなければいけないのではないかということを皆さんに訴えたいわけです。

河本 ありがとうございました。
道上先生は、千代川流域圏の会議の会長さんでもあります。やはり自然環境とか生活環境の問題となると、広域的な取り組みが重要になってこようかとは思いますが、こういった点についてお願いしたいと思います。

道上 地方に住むことの良さの1つは、おいしい水が飲めるということではないかと思います。ここにあるペットボトルの水は100円か150円くらいすると思いますが、こういうものを飲まなくても、鳥取では水道の水で同じ味が味わえます。

 

 

 

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