前述のように、大店立地法がほかの規制よりも早くやられるようになった。いわゆる従来は販売面積、開店日、開店時間、休業日などといった経済的な規制をしていたのを、新法では環境規制をするということです。例えて言えば、交通渋滞、駐車場・駐輪場の問題、交通安全、騒音、排ガス、廃棄物といった問題を考えなければなりませんが、果たしてこれに一定の数値化ができるのかどうか、これを市町村がどういうふうに標準化をしていくのか、これによっては、私はできないだろうというのが本音です。今まででさえできないのに、このような漠然としたもので果たしてできるかということがはっきり言えるだろうと思います。
そうすると、この運用次第では大変なことになります。うまくいく場合もあるでしょうが、まず一歩誤れば厳しい規制になるし、出店側とも住民側とも大変なあつれきができるのではないだろうか、このような気がしてなりません。その点は、皆さん方としては十分にお考えいただきたいという気がしてなりません。当然、2000年は来るわけですから、そのときまでに自治体として、地域を含めての運用あるいは対応できるような体制にしていただきたいし、その面をはっきりしていただくように中央にお願いしてほしいという気がしています。
河本 ありがとうございました。
次に、千田先生にお願いしたいのは、福祉環境について、ドイツの取り組み事例などをお話しいただけませんか。
千田 先ほど基調講演でドイツのゴミの話を残しましたので、少しお話ししたいと思います。
私は毎年1か月間、ゲーテインステイトゥートというドイツ語の学校に入って、寮とか民家で暮らすわけです。そこでゴミ問題を調べましたが、5年くらい前、あるときデュッセルドルフでホテルに入ったら、ケーメッセというのをやっていました。ケーというのはプラスチックのことです。メッセというのは見本市と訳すのでしょうか、博覧会みたいな見本市です。そのために全世界から大勢お客さんが来て、ホテル代が3倍に上がって、予算が狂って早く帰ってきましたが、その見本市で何をやっているかといえば、自動車のバンパーをそのまま使えるようにというのもあって驚きました。
いろいろ聞いてみると、我が日本では郊外各地に自動車の残骸が象の墓場みたいにありますが、ドイツではこれがないのです。廃車リサイクル令が今年4月から発効しますが、まず第1条は、ユーザーが自動車を廃車するときには、必ずメーカーに引き取ってもらわなければいけない。第2条は、メーカーは無料で必ずこれを引き取らなければいけない。第3条は、メーカーはそのプラスチックのバンパーを溶かして使うのではなくて、バンパーはバンパーでそのまま新車に使わなければいけない。そして、1995年には何%、2005年には何十%という基準がつくられています。第4条が一番おもしろくて、廃車手続きは陸運事務所でやりますが、ユーザーが引取証明書を持ってこなければ廃車したとは認めない。したがって、毎年ちゃんと自動車の税金を取りますと、こうやるわけです。つまり、メーカーは必ず引き取りをしなければいけないので、町の中に廃車がごろごろ転がっているということはないわけです。メーカーは、無料で引き取った車を必死になって再生して処理しなければいけないという、すごい法律です。
私は、それを聞いたとき、もし日本のトヨタとか日産などがやられたらどんなことをするだろうかと思いました。日本では、安くて軽くて見栄えのいいものをどんどん輸出していますが、今年の4月からドイツで廃車リサイクル令が発布されると、それを引き取って直す能力が何もないのです。ベンツは前から勉強し、準備して、1つの新車をつくったとき、直ちに分解して全部部品に分ける。部品に分けられない自動車はもう1回設計図を書き直す、こういうところまでいっているわけです。電子、電気もそうですが、そういう大メーカーをしてリサイクルをちゃんとやらせるという国民の力、これが大変です。
私の個人的な経験ですが、学校に入ると、2ついただくものがあります。もちろん授業料のうちに入っているわけですが、1つは買い物袋です。