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これは私が常々言っていて、なかなか実現しないのですが、団地の近くに農業公園のようなものをつくったらどうか。ドイツにも小さな庭園というものがありますが、それに近い発想で、5,000坪くらいの農地を市、県、あるいは公社が借りて、それを地域の人に1区画150坪の土地をお貸しする。その中心に東屋風のログハウスや集会場をつくり、家庭から出たゴミをコンポストで堆肥化し、その畑に持って出て芋や玉ネギをつくる。それを自慢しながら酒を飲む。こういうことをすれば、先ほどのゲートボールばかりではなくなるのではないか。そういうのが、この鳥取はやりやすい地域なのです。公園都市ということで、私もぜひそういうのを考えてくださいといろんな所で言っています。まだ実現していませんが、こういうことをしながら特に生ゴミを減らして、浮いたお金を福祉とか環境問題を考えるとこ、ろに突っ込めばいいのではないか。できたらそうありたいと思っています。

空気や緑がきれいというだけでは鳥取県の特徴とはなりません。それは岩手県も千田さんのおられる秋田県もどこも皆一緒です。そうではなくて、その素材を生かしながら我々の知恵で施策を立案し、他県にない、他の市町村にないようなものをどうつくっていくかが重要な課題であり、そこに先ほど千田先生がおっしゃった施策立案能力が問われるわけです。ところが、そういうのはどちらかといえば条件の非常に悪い東京都のほうでだんだん出てきそうです。そうではなくて、ぜひこういったところから1つずつ身近な問題の解決を図っていき、そういうものにいろいろ参加することによって、それぞれの市民としての喜びを味わえるのではないかと考えています。

河本 ありがとうございました。
次に、高橋さんから、まちづくりからの環境問題、特に生活環境の面から今後のまちづくりの課題といったことについてお願いします。

高橋 最初の話を少し補いますと、私としては、道路、緑地、公園等だけでなく、鉄道、河川、港湾あるいは海面など、中央省庁がばらばらで管理しているのを地方自治体に任せたらどうか、そうすればいいじゃないかということを言いたかったわけです。農業、林業、水産業などについても同じことが言えるのではないか。また、大規模小売店舗の問題についても、地域計画、都市計画の問題として取り扱わなければならないのではないか。私も商調協時代から十何年まちづくりに関係してきていますが、これで非常に苦しんでいるわけです。できればと思っていたところ、今度2000年に改正になるということですので、やや長いですが、待つことになろうかと思います。しかし、これについては、皆さん方に一応覚悟はしておいていただきたい。今まで以上に大変なことになりますよということだけは申し上げておきたいと思います。従来は会議所が担当していましたが、今度は市町村でやるとなると、これは大変なことになります。これは後で申し上げます。

それと、教育、保育、医療、介護などについても、本来ならサービスの供給体制の整備も市町村が背負わなければならないが、社会サービスの供給を直接担当する必要は必ずしもないのではないか。かえってこういったサービスの供給がうまくいくように、調整とか監査、あるいは監視をして、住民のニーズに的確に対応できるようにしたほうがいいのではないかという気がするわけです。その際に忘れてならないのは、ハードウェアについては十分行われるが、どちらかといえばソフトウェアの面が欠けているということが、私たち住民からすると言えるのではなかろうかということを実は言いたかったわけです。

まちづくりの環境問題について触れたいと思いますが、環境となると、我々はとかく自然環境ということを考えます。しかしながら、生産環境とか生活環境というものがあるわけです。この自然環境、生産環境、生活環境の三者が調和して広域な生活圏、定住圏を整備していかなければ、どれ1つ欠けても大変なことになるのではないかと思います。

 

 

 

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