では、国はスリムになって何をするかということですが、国際貢献です。日本は本当に大国で、ユネスコでも国連でももっとたくさん職員を派遣しなければいけないのに、国際的な要請があってもほとんどやっていないわけです。残った人たちは、やはりどんどんどんどん国際貢献をすべきであるというのが、自民党から共産党まで国会の決議として行われた最大の理由です。流れはそういうことで進んでいるわけですから、省庁は嫌で嫌で大変でしょうが、いずれは県に仕事が来ると思っています。
それから、建設省の人たちは、「我々は技術を持っている。県には技術がない」と言います。これもおかしな話です。確かに県に来て、県の人たちがみんな技術があるかといえば、ないかもしれませんが、自分でちゃんと勉強すれば、だんだん技術が得られます。最初の少しは国の役人より技術や知識が少ないかもしれないが、自分でやらなければならないとなったら、みんな勉強しますから、大丈夫じゃないかと思います。そういうことで、自分に権限があり、どんどん勉強するとなると、行政も自分の態度も変わってきまずから、県庁の職員たちが非常に活性化して、自分たちで勉強していけると思います。
また、いろいろ聞いてみると、建設省の河川局は地方に仕事を取られるのではないかということをある程度覚悟しているのでしょうか、できるだけ取られないように先取りをして、例えばダムにたまった土砂堆積を何年に1回は下流まで掃除する仕事を新しく今始めようとしています。それだって莫大なお金がかかるのです。道路のほうも、中山間地帯に建設省が道路をつくってあげようというふうに、国道や河川を取られても、そういう新しい仕事を先取りで考えているのです。しかし、省庁の人たちは、予算を取られた分だけ新しく仕事をつくろうなどということではなくて、やはり国際貢献に持っていくようなことを考えていただくようにしなければいけないと思います。
いずれにしても、河川などは先取りしてそういうことを今からやっていますし、国土庁でも、第5次全国総合開発計画などという名前はだめだといって、グランドデザインとしていますが、前と同じで、紀淡海峡にトンネルをつくるとか、そういう具体的なことまでは書いていません。参加と連携という思想はいいのですが、そういう基本的なことを変えて、地方がやるべき仕事は地方にさせてくださいというのが我々の主張です。これも我々の仕事を取るのではないかということで国土庁から非常に強い抵抗がありますが、いずれ県の職員、市町村の職員も、今まで国がしたことをこれからはちゃんとするということで、意欲というか、与えられれば一生懸命勉強して、大丈夫やっていけます。1〜2年は容易でないかもしれませんが、3年目からは国の職員より素早く行動を開始するようになるのではないかと私は思っています。だから頑張らなければいけないと強く言っているところです
河本 続いて「福祉・環境」というテーマに絞って討議をお願いしたいと思います。最初に、斉藤先生にお願いします。高齢者政策が専門とお聞きしました。午前中、鳥取県の介護保険の取り組みについて検討いただいたようですが、感想なども含めてお願いをしたいと思います。
斉藤 午前中、ご無理を言って県庁の長寿社会課で鳥取県の高齢者福祉のお話を聞かせていただきました。検討というよりも勉強させていただいたのですが、先ほど申し上げましたように、今、70歳のお年寄りが90歳の方を見るという老老介護が深刻なことになっていて、やはりこういった家族を何とか地域で支えていかなければいけないというのは、どこの自治体でも緊急な課題になっていると思います。